小論文短期集中講座

小論文短期集中講座③ これだけ!小論文で合格点を獲得するための最短プログラム

いよいよ小論文短期集中講座③では、これまでの講座でも出てきたアウトラインの作成の仕方についてお伝えします。

アウトラインの作成は、小論文短期集中講座の肝です。アウトラインの出来次第で、小論文の答案の出来が8割型決まると言っても過言ではありません。

今回の講座を何度も読み返し、そしてあなた自身がアウトラインを書くことを繰り返し練習してくださいね。

チワワくん
チワワくん
アウトラインなんて学校で教えてもらったことないよ!
Kaz
Kaz
そうかもしれないね。でも、小論文の作成する上でとても大事なテクニックなんだ。しっかりマスターしようね。

アウトラインとは何か

小論文短期集中講座①で少しお伝えしたように、アウトラインとは、小論文全体の構成のことを指します。

アウトラインはあなたが迷わずにゴールに向かって書き進めるための、小論文の地図です。地図がなければ、書き進める途中で問いに対する回答からズレてしまったり、論点に対する回答を書き漏らしてしまうリスクが高まります。こういった状況を防ぐために、答案用紙に文字を埋め始める前に、アウトラインを作成する必要があるのです。

具体的なアウトラインの作成方法

それでは、前置きはこのくらいにして、アウトラインの作成方法を見ていきましょう。

具体的には、答案用紙を段落毎に区切っていき、それぞれを意味のある塊(かたまり)にしていきます。このことを、段落に意味づけをする、と僕は呼んでいます。段落は、意味なく分けてはいけません。読み手からすると、「この段落は何の意味があるのだろうか?」という疑問を抱かせてしまうからです。段落毎に、伝えたいメッセージ、役割を明確化するようにしましょう。

小論文短期集中講座①でもお伝えしましたが、典型的な段落の分け方は、以下のとおりです。

まず、答案用紙の制限文字数が800〜1,000文字の場合、1つの段落は200〜300文字にしましょう。これより少ないと、段落として分けるには小さすぎて、「この段落は必要なのだろうか?」と思わせてしまいます。また、逆に1つの段落が500文字もあると大きすぎ流と、「ボリュームが多くて読みづらいなぁ…」と、読み手を混乱させてしまいます。

あなたが書いた小論文の答案の採点をする読み手は、大量の小論文を読んでいます。そのため、読み手にとっての読みやすさを考慮することは、とても大事です。段落を適切な長さで区切ることは、あなたにとって小論文の書きやすさが向上するだけでなく、読み手にとっての読みやすさも向上するのです。

そして、1行の文字数は、50文字〜100文字が適切です。そうすると、仮に1つの段落を200文字で区切れば、1段落=2行〜4行となります。これの繰り返しで、1,000文字を埋めていくのです

こうやって細分化してみると、小論文が書きやすくなると感じませんか?まずは、800文字や1,000文字はそんなに長くない!と思うことが大事です。

それでは、段落ごとに抑えるべきポイントを見ていきましょう。

1段落目…全体の要旨を伝える

冒頭でどんなことを書くべきか、悩む人は多いのではないかと思います。

学校では、文章の書き方として、「序論・本論・結論」や「起承転結」といった構成を習い、この通りの構成で小論文を書いている人もいるかもしれませんね。

しかし、小論文試験においては、これらの知識は完全に忘れてください。そもそも、起承転結は、本来は漢文の詩の書き方であって、学術論文の書き方とはそぐわないのです。

また、小論文でもっとも大事なポイントは何でしたでしょうか?そうです、問いと論点に対して、明確な回答をすることでしたね。したがって、小論文のトリセツが教える書き方では、1段落目に結論を含む小論文全体の要旨を書きます

これは決しておかしなことではありません。大学での学術論文や学期末のレポートでは、必ずアブストラクト(要約)を冒頭に書きますし、仕事のレポートでもプレゼンテーションでも、「結論ファースト」と言われるように、冒頭に結論をもっていきます。

逆に、あなたの小論文答案を最後まで読み進めないと、結論、すなわちあなたの主張が出てこいないことを想像してみてください。読み手からすると、読み進めるうちに「結局、この人は何を言いたいんだろう…?」と思ってしまいますね。また、主張が最後の一部にしか出てこないと、答案用紙の全体の分量からすると、とても短くなってしまいます。これでは、問いに対する回答としては、説明が十分だとは言えません。

これらを踏まえると、1段落目で結論を示すことは、小論文を書く上でごく自然なことなのです。まずはこの事に慣れるようにしておいてください。

さて、1段落目で結論を提示するための書き方のパターンは、いくつかあります。

1. 主張→理由→根拠・論拠
2. 導入(根拠・論拠)→主張→理由

以下の過去問に沿って、具体的に見てみましょう。

「給付型の奨学金は、低所得世帯の子どもたちの進学に当たっての経済的負担を軽減し、進学の機会の平等を図ることがそのような制度を設ける意義であることからすれば、その返還が免除されるための条件として、大学進学の学修において一定の成績基準を満たすことを要求すべきではない」との意見がある。このような意見の当否について多角的に論じなさい。(平成29年度外国学校卒業学生特別選考小論文問題(第1種) 東京大学)

今回の問いは、問いのメインテーマについて、賛成と反対(功罪)のそれぞれの論点を自ら設定して論じるという、かなり自由度の高い出題となっています。

参考資料が何も用意されていないので、事前知識(なければ仮定した条件や、推測も含む)がないと、説得力のある文章の展開が少し難しく感じるかもしれませんね。

基本的なパターンは上記の通りですが、問いのメインテーマと論点によって、文章の構成をアレンジしていきましょう。

1のパターンで議論を展開していくと、たとえばこのような文章になります。

給付型の奨学金は、家庭の所得格差から生まれる教育格差を緩和する上で、有意義な制度だと考える。子どもが大学へ進学するにあたり、難関大学であればあるほど、教育への投資コストが増すと思われるためだ。一方で、給付型の奨学金は返済の義務がない制度であり、その多くは税金で賄われていることを考慮すると、給付型の奨学金の使途が日本の健全な繁栄という大義に結びついているかどうか、国民や国民を代理する国会でのアカウンタビリティが発生するだろう。こういった前提を踏まえた上で、給付型の奨学金の使途について、どのような制約条件を設けるべきか、考えてみたい。

それでは、1段落目を細分化して見てみましょう。

主張…給付型の奨学金は、家庭の所得格差から生まれる教育格差を緩和する上で、有意義な制度だと考える。
特段、「あなたの意見を述べよ」という条件(論点)は設定されていませんが、「多角的に論じなさい」という論点なので、いくつかの論点を抑えた上で、あなた自身の主張を展開すると、説得力が増し、小論文としての評価は高まるでしょう。
そのため、ここでは、いつものパターン通り、主張から展開しています。

理由…子どもが大学へ進学するにあたり、難関大学であればあるほど、教育への投資コストが増すと思われるためだ。
あなた自身の考えである「主張」に続く「理由」部分です。「なぜなら〜だ。」もしくは「〜だからである。」と繋げましょう。
あるいは、全体の文字数が短いようであれば、「以下、2つ(3つ)の理由を述べる。」と続けても良いです。
いずれにせよ、小論文試験においては、主張と理由は必ずセットで書くようにしましょう。

根拠・論拠…
・給付型の奨学金は返済の義務がない制度である
・給付型の奨学金の多くは税金で賄われている

根拠や論拠は、あなたの主張の説得力を高めるための材料です。材料としては、以下のようなものが挙げられます。

・客観的な数字
・有識者の意見
・個別具体的な事例
・普遍的、社会通念的に妥当だと思われる前提

根拠・論拠の使い方については、後述で詳しく解説します。今回の問いでは、

・給付型の奨学金は返済の義務がない制度である → 普遍的、社会通念的に妥当だと思われる事実
・給付型の奨学金の多くは税金で賄われている → 客観的な数字

もちろん客観的な数字があればベストですが、特に参考資料がない状況ですので、具体的にどの程度が税金で賄われているかは記述する必要はありません。

2については、以下のような文章となります。

給付型の奨学金は返済の義務がない制度であり、その多くは税金で賄われている。そのため、給付型の奨学金の使途が日本の健全な繁栄という大義に結びついているかどうか、国民や国民を代理する国会でのアカウンタビリティが発生するのではないだろうか。

給付型の奨学金は、家庭の所得格差から生まれる教育格差を緩和する上で、有意義な制度だ。なぜなら、子どもが大学へ進学するにあたり、難関大学であればあるほど、教育への投資コストが増すと思われるためだ。こういった前提を踏まえた上で、給付型の奨学金の使途について、どのような制約条件を設けるべきか、考えてみたい。

重要なポイントとしては、いずれのパターンでも、1段落目が全体の要約になっていることです。冒頭が全体のサマリーになっていると、読み手としては、その後の展開が頭に入った状態で読み進めることができるので、とても読みやすくなるのです。

3・4段落目…根拠・論拠を活用して、主張の説得力を高めよう

一旦、2段落目を飛ばして、小論文のメインディッシュである主張部分を詳しく解説しましょう。2段落目を後回しにする理由は、問いの論点や主張部分の構成によって変化し、特定のパターンがないためです。あまり解説するポイントがないとも言えます(笑)。

小論文の答案において、主張、すなわち問いに対するあなた自身の考えを述べることは、最も得点に影響します。そのため、説得力のある主張を展開することが、小論文において不可欠です。

得点の高い小論文には、2つの特徴があります。

1.説得力のある主張を展開している
2.主張部分の文章が多い

まず説得力のある主張については、すでに何度か触れていますね。主張→理由→根拠・論拠がセットで展開されていることが、基本的な論理展開のパターンです。

また、主張部分の分量の目安は、全体の分量の半分程度かそれ以上を目標ラインとしてください。これは、結論部分の一部だけに主張が述べられている小論文答案と、全体の半分程度にわたって主張が展開されている答案、読み手にとってどちらが印象的かを考えると、お分かりでしょう。小論文の問いは、あなたの考え=主張がどのようなものかを問うています。

小論文のトリセツでは、1,000文字程度の答案を作成する場合、3段落目と4段落目で主張を展開することを基本的なパターンとしています。

その際、主張の展開の仕方としては、

・3段落目…根拠・論拠①
・4段落目…根拠・論拠②

というパターンでも良いですし、あるいは

・3段落目…根拠・論拠①
・4段落目…主張への反論を想定した上で、さらにその反論に対して反論する(たしかに〜、しかし〜)

というパターンでも説得力があり、良いでしょう。

根拠・論拠の活用方法

ここでは、根拠・論拠の使い方を詳しく見てみましょう。先ほど、根拠・論拠の例として、以下の4つを挙げました。

・客観的な数字
・有識者の意見
・個別具体的な事例
・普遍的、社会通念的に妥当だと思われる前提

これらは、あなたの主張の説得力を高めるための材料となり得ます。その中でも、「客観的な数字」と「有識者の意見」は、試験問題に添付資料があれば、資料から引用することができます。資料はあなたの発想のヒントとして使えますので、ぜひ積極的に活用しましょう。
また、もし資料が用意されていなくても、事前知識を蓄えておけば、武器として活用できます。ぜひ積極的に活用してください。

そして、後半の2つ「個別具体的な事例」「普遍的、社会通念的に妥当だと思われる前提」については、帰納法と演繹法という2つの論理展開と密接に絡んできます。この2つの論理展開の仕方を、しっかり抑えておくようにしてください。

帰納法と演繹法 – 説得力を高める論理展開

チワワくん
チワワくん
なんだか難しくなってきたよ…
Kaz
Kaz
だいじょうぶ。一見ややこしいかもしれないけれど、繰り返し学習すれば、必ず理解できるようになるよ。

まず、前者の帰納法から説明します。「個別具体的な事例」は、資料から引用することもあれば、自身の事前知識から付け加えることもあるでしょう(ここで、やっと知識の出番ですね!)。事例は出来るだけ1つではなく、2つもしくは3つあると、より説得力を増すことができます。

このように、個別具体的な事実(ファクト)や事例、データから導き出せる傾向をまとめて結論に繋げる論理展開を、帰納法と言います。

一方で、演繹法は、「普遍的、社会通念的に妥当だと思われる前提」から結論を導きだす論理展開です。具体的に見てみましょう。

普遍的、社会通念的に妥当だと思われる前提=日本国憲法は、国民主権を認めている。
事例・データ=日本の国会議員は、有権者による選挙によって選ばれている
結論=日本の政治は、民主主義によって統治されている

このように、前提→事例・データ→結論(主張)という展開を、演繹法と言います。

帰納法と演繹法を図でまとめると、以下のようになります。

これらの展開は、説得力の高い文章、すなわち論理的な文章を書く上で、大事なテクニックとなりますので、折に触れて立ち返ってみてくださいね。

5段落目…結論部分は、主張の再確認をする

最終段落では、これまでに展開した主張とその理由の再確認を行います。
その際、まったく同じ言葉を繰り返すのは、出来るだけ避けましょう。読み手にとって、くどく感じてしまうためです。もちろんキーワードは組み込むべきですが、同じ内容を異なる表現で伝えられるとベストです。

1段落目は全体の導入の内容も含まれている場合がありますが、結論部分ではあくまでも問いに対するアンサーを中心に、段落の内容を構成しましょう。

なお、結論部分では、新しい概念や初めて登場する情報は出さないようにしてください。説明不足だと受け取られてしまい、文章全体のまとめにならないためです。

結論部分は、あまりトリッキーな内容を書かずに、あくまでも全体の大事なエッセンスを繰り返すイメージで書きましょう。

2段落目…資料を活用して、主張のお膳立てをする
最後に、後回しにしてきた2段落目の書き方をお話しします。とは言っても、2段落目には、定型の書き方のパターンというものはありません。だからこそ、どのように描き進めるべきか、少し悩ましい部分でもあります。

ポイントとして、小論文全体おける2段落目の位置付けは、主張への繋ぎである、ということを理解しておきましょう。

先ほど、資料は説得力を高めるための材料であり、また発想のヒントであるとお伝えしました。発想のヒントとしての典型的な使い方は、以下のとおりです。

●●(論点)に関して、資料Aでは「〜〜」と述べている。一方で資料Bでは「〜〜」とのことだ。これらを踏まえると、「●●(論点)は、〜〜」だと言えるのではないだろうか。

このように、複数の資料を見比べて、共通点や相違点をピックアップし、その情報を踏まえて、主張に繋げるという流れが、典型的な2段落目の構成です。

まとめ

小論文では、学校で教えられてきた「起・承・転・結」に沿って書くべきではありません。
問いのメインテーマと論点に対して回答することが、小論文で高得点を取るためのすべてです。そして、そのためのシンプルかつ最適な構成は、主張→理由→根拠・論拠という展開なのです。

また、小論文答案の出来は、90%はアウトラインの出来で決まります。逆に言えば、アウトラインの出来が良くなければ、得点の高い小論文答案は期待できません。

そのため、日頃の小論文の学習では、まずはアウトラインを書くことに慣れてください。実際の小論文試験では800文字や1,000文字を書かなければいけませんが、アウトラインの作成だけであれば、負荷は大きくないはずです。

折に触れて今回の小論文短期集中講座を読んで、アウトラインの作成を繰り返し練習してくださいね。