合格体験記では、難関大学に合格した大学生(卒業生含む)が、自身の大学受験の学習方法や志望校の選び方、試験当日の様子まで、リアルにお伝えします!
今回は、2019年慶応SFC(総合政策学部)に入学した、サカエさんに執筆して頂いています!ぜひ受験勉強の参考にしてくださいね。
この記事の目次
プロフィール
現役 神奈川県立高校卒業
合格校 慶應義塾大学総合政策学部/英語受験
併願校 慶應義塾大学環境情報学部/英語受験(不合格)・早稲田大学教育学部(欠席)
慶応SFCを目指したきっかけ
私は受験勉強を始めたのが部活動を引退した高校3年生の6月でした。勉強を始めた当初は家の近くにある国立大学に行ければいいかなと感じるぐらいで、SFCに対する特別な意識はありませんでした。
ただ、それまで中高と部活漬けの生活を送ってきた私は大学に入って何を勉強しようかという事がイマイチ思い浮かんでいなかったため、当初なんとなく志望していた大学の他に候補を作るとしたら幅広い分野をカバーしているところが良いと感じていました。
受験の天王山と呼ばれる夏休みが始まったばかりの8月上旬、インターネットで大学のことについて調べていると偶然に慶應SFCについての記事を発見。
その記事の他にもインターネットに上がっている「慶應SFC」と付いている大学紹介記事などはあらかた読み尽くし、その翌日に一度行ってみようと思いSFCを見学。学部のパンフレットを貰い家に帰って熟読。 その日には第一志望をSFCに変更しました。
受験勉強の流れについて
第一志望をSFCに変更したとはいえ、家庭や学校(国立大学進学を強く勧める高校)の中では長いことSFCではなく国立が第一志望と宣言していました。そのため、夏にいきなり志望変更をするといってもいい顔をされず面倒なことになると分かっていたので、その時は両親や担任の先生にはSFCを第一志望にしたとは伝えずにいました。
加えてその時の自分にはまだ国立を受けるという意識はあったので、メインには国立の勉強を置き、試験科目の基礎をもう一度さらうなど手堅く勉強していました。
私は夏休みの勉強場所として学校の自習室をよく利用していたのですが、学校の友達はやたらと応用系の参考書をやっていた記憶があります。もしこれを読んでいるあなたがこのような状況になっても焦らないようにしましょう。
受験勉強というのは、簡単に言えば「当日試験を受けて合格最低点を1点でも上回る」ことができたら勝ちという非常にルールが明確な勝負です。難しい参考書を早くからこなすことは必ずしも合格には繋がりませんし、かえって悪影響を及ぼすこともあります。
受験勉強は基本的には個人競技ということを理解して、他人の進捗状況がどうだという情報は、目指している学校学部学科が全く同じだったとしても遮断するように心がけましょう。ただし、友達とリラックスするためにしゃべったりするのはかなり大事です。
夏休みに行ったSFCの対策といえば、学校の先生が夏期講習として開いて下さった小論文講座に出席したことぐらいです。しかもここで解いたのは主に慶應の経済学部や文学部のものであり、SFCは一度しか書きませんでした。
英語の過去問は触れてすらいません。おそらく同時期のSFC志望に比べると第一志望校に注いだ勉強量は少ないものとなってしまった夏ですが、逆に言えば、夏の時期からSFCのみを対象とした応用の受験勉強をしなくても合格する人間は確かに存在するということです。
夏休みが終わり秋に入った10月、私はSFCのことを調べていけばいくほど「ここに行きたい」という思いが強くなっていたので、もう俺の行く場所はここしかない、と言わんばかりの勢いでSFCを受験勉強の主眼に置き、ここ以外は行く意味が無いから併願校も1,2個しか出願しないと両親に伝えました。
彼らはじめ少し驚きなぜ国立に行かないのか、そんなことで大丈夫なのか、と私に聞いてきましたが「絶対に俺はSFCに行くから」とだけ強く宣言しました。その後も何度か親に受験校について言われることはありましたが、「俺はSFCに行く」の一点張りで通し切っていました。完全にSFCに絞ったので国立の勉強は全て止め、5教科7科目は英語小論文の1教科2科目になりました。
この時の私の執着は入学した今となっては不思議に思えますし、受験という視点で見れば正直異常でしかないほどの危険思考ですが、このぐらいの熱量こそ本格的なSFC対策に入ったのが秋である私でも試験に何とか通ることができた要因のひとつだったのかもしれません。ただ、両親、特に母親は私のこの姿勢を見ていてかなりヒヤヒヤしたと受験が終わってから言っていました。親をかなり不安にさせたことは申し訳ないと感じます。
そこからの勉強について詳しいことは後述しますが、小論文も英語も試行錯誤の連続でした。出来が上がらない日々が続きましたが、「俺はSFCに受かる」という精神を根底に置いていたので不安を感じることはありませんでした。強がりであろうとなんだろうと、自分の心をネガティブに向かわせないのは本当に大事です。私はこれを勝手に「勝者のメンタリティ」と呼んでいました。
常に強く勝利の思考を持ち続けた上で努力を重ねればそれは実現すると思います。私はまだこの受験しか成功例がありませんが、今までに数多くの勝利や成功を重ねてきた人間の大半はこのメンタリティを持っているはずです。受験勉強においても有用であり、この思考を持って損は無いので是非おすすめします。
そこから試験日までは非常に短く、一瞬のように感じました。結果として私はSFCに受かることができた訳ですが、その成果を支えたのはやはり前述した勝者のメンタリティが大きいです。受験勉強についても、当日についても。
慶応SFC英語の勉強方法
単語帳は「東大英単語熟語 鉄壁」「リンガメタリカ」「システム英熟語」を使っていました。
私立大学の対策において鉄壁は語数が少ないと避けられる傾向にありますが、私はSFCについてはまずメインに鉄壁があれば十分だと思います。私は高3の春から受験終わりまで鉄壁を使い続け、誇張ではなく80周ほどしました。
その鉄壁を隅まで頭に入れて基本的な単語力を身に着けた後、リンガメタリカで分野特化の単語を流し込みました。このリンガメタリカが扱っているテーマとSFCの出題分野は非常に親和性が高く、SFC対策においては即戦力となる単語が揃っているため是非回しておくことをおすすめします。
次にシステム英熟語です。SFCの問題には海外の論文がそのまま無修正で登場するので、ある程度熟語表現などのストックが無いと少し厳しい戦いになります。熟語にはその単語の組み合わせからは想像もつかない意味を生むものが多数あるので、こちらもやっておくと得をします。
ですがやはり優先順位としては単語のほうが上なので、私は受験英語の単語に関してかなりの力を蓄えたと感じた11月ごろからこれに取り組みました。過去問の点数が伸びたのをよく覚えています。
そして最後に、過去問単語(自作単語帳)です。SFCの英語には受験レベルを逸脱した難単語がたびたび登場するのですが、その難単語は使い回されています。過去問演習を通して私はそのことに気づいたので赤本に掲載されている難単語は全てメモして覚えました。
正直この範囲は覚えなくても推測で凌げる場面が多々あるのですが、仮に本番それが原因で点を失ったらとてつもない悔しさに苛まれる気がしたので暗記。結果としては僕の年は運良く難単語帳から多数の登場があり、試験中の私は完全に勝利モードでした。おすすめです。
英単語の暗記法
英単語の暗記法についてですが、私は一つの単語を見る時間は0.5秒ほどにとどめ、とにかく周回を意識して暗記しました。世の中には様々な暗記メソッドが流れていますが、私は「人は接触回数が多いものほどよく覚える」という法則に裏打ちされたこのやり方を信じました。
暗記法などは人によって最適解が違います。僕は高速周回が肌に合っていましたが、全ての受験生がそうであるとは限りません。ですが、何より大事なのは「そのやり方でやると決めたら腹をくくってそれを信じて進む」ということです。自分と自分のやり方をいかに信じられるかが勝負なのは、受験全体に限らずこのような英単語の覚え方ひとつにも当てはまります。
文法の学習方法
文法事項は、私はかなり弱いほうでセンター試験の文法問題ですら取りこぼしてしまうことが多いので、受験生の参考になるようなことを書ける自信はありませんが、早めにやっておくのが良いです。
私はセンター試験後になんとなく文法力が足りないなと感じ、 「全解説頻出英文法・語法問題1000 (いわゆる桐原英頻)」を購入しました。時間がなかったので中身を完璧に理解することは諦め、3周ほどして自分が弱いと感じた分野を見つけて集中的に強化しました。
こんな勉強法は本当に良くないですし時間の無駄でしかありません。春頃からじっくりと基礎を学び、直前期には軽く確認をするぐらいが1番良いです。反面教師にして下さい。
英文解釈の取り組み方
夏頃まで英文を感覚で読んでおり、いわゆる主語はここまでだ、文構造がどうだ、などの形式的なアプローチをやったことがなく、危機感と言うよりは半ば好奇心のようなものに動かされ「ポレポレ」を夏休み終わりに購入し使いました。
一周目は全ページをコピーし、<>や()などを使い参考書通り丁寧に解釈を勉強しましたが、二周目以降は実践的なスピードと解釈精度が欲しかった(本番で丁寧に文にカッコをつけたりして読んでいては時間が無いと考えた)ため目で文を追い、頭の中でいかに速くいかに正確に文構造を捉えることができるかに注力して勉強を進めました。
同じ参考書であっても目的意識が違えば違う使い方で違う味を引き出すことができるということもこの参考書から学びました。この参考書を5周ほどしてからはセンター英語の点数が上がり、190点~が常となりました。うまく使えば本当に強力な英文解釈力を身につけられると思います。
慶応SFC(英語)の過去問の取り組み方
英語の過去問を解き始めたのは10月のことです。結果としては悪くて5割後半、良くて7割後半といったところでしたが、平均的には6割弱に収まることが多く、過去問演習を始めたての時は少し焦りました。
結局最後の最後まで満足の行く点数は取れていませんでしたが、合格した総合政策学部の本番は8割に乗っていたので過去問の出来に囚われすぎるのはもったいないと思います。ちなみに不合格の環境情報学部は6割ピッタリでした。点が低い上に小論で稼ぎきれなかったのが敗因かと思います。
また、やり尽くしたら過去にやった問題に再度挑戦するのもおすすめです。たとえ内容を覚えてしまったとしても、問題の理解度は一回目より絶対に上がっているはず。そのように補助輪が付いた状態での読解は8~9割の得点をする感覚を知ることができるので非常に有用です。
慶応SFC小論文の学習方法
私がSFCの小論文にはじめて触れたのは夏休みに学校で行われた夏期講習です。それ以来ずっとその講座を開いてくださった学校の先生に添削をしてもらっていました。
小論文の勉強はつかみどころが無いため、安易なメソッドに走る受験生も少なくないとは思いますが、そのような型にはめた攻略をすると本番で絶対に見抜かれます。確かに型にはめて文章を書くと簡単にそれっぽい答案が完成するのですが、それではいちばん大事な、思考するというフェーズが短くなってしまいます。
答案用紙の使い方、パラグラフ・ライティング(その段落の主旨/トピックセンテンスを一文目に、まとめ/コンクルーディングセンテンスを最終文に配置する文章の書き方)など最低限のマナーを身に着けて、あとはとにかく過去問に当たって考えて、考えて書ききって先生に添削をもらうのが良いと思います。
繰り返しになりますが、小論文には受験数学のように明確に答えが存在しないので、人に見てもらった上で自分には無い視点で自分の答案に切り込んでもらうことが大事です。そこで私は学校の先生に「問いに正面から答えられていない、ひどい時は答え忘れてもいるから、しっかりと求められていることを書き出してごらん」とのアドバイスを頂きました。これは超大事です。何を聞かれているか書き出すこと。
また、リライト(一度やった年度の小論文を書き直すこと)も重要です。この時小論文のテーマは変えてもいいですが、基本的には同じテーマのものをブラッシュアップするのが良いです。とにかく新しい過去問に手を付けるのもSFCを知るという意味では良いのかもしれませんが、最終的にはやはりこのリライトを丁寧に行うのが一番効果的です。
詳細な対策方法ですが、SFC小論文はこの合格体験記の一コーナーとして的確に記述できるほど単純なものはありません。私が言えることといえば、「インターネットでくまなく調べるのが一番の近道」ということです。これからの時代には、この力が本当に重要になってくると私は考えています。
沢山の情報をまずは流し入れ、本当に有用だと感じるもののみを取捨選択していく。何も考えずに予備校に行けば大丈夫という姿勢ではなく、自分から情報を掴み取ってゆく姿勢を身につけるチャンスだと思います。ぜひ頑張って下さい。
模試の成績推移
大まかな模試の偏差値(英語)、判定(SFC)推移としては
春 偏差値 69(河合記述) C判定
夏 偏差値 69(河合記述) C判定
秋 偏差値 66(河合)記述 D判定
です。基本的に予備校や模試、その判定のシステムが気に食わなかったので、学校で指定されたこれらの模試以外は受けていませんでした。
SFCに限った話をすると、この学部は配点の半分に小論文を置いているので早慶オープンなどよほどSFCを意識して作っている模試でないと参考にできないと思います(その早慶オープンも私としてはあまりあてにならないと思いますが…)。
入学して知ったのですが、SFCには「小論で受かった」タイプの子が何人もいます。自己採点したら英語が6割行ってなかった(7割がおおよそのボーダー)、6割にやっと乗ったくらい、なのに受かった、と。本番ですらそんな不安定な側面を見せるのだから、SFC受験においては尚更模試の成績を気にする必要は全く無いというのが僕の持論です。
A判定を何回とろうが合格する保証はないし、反対にE判定を何回取ったからといって不合格になるというわけでもありません。
受験生は先の保証されない不安な立場なのでつい心の拠り所を目に見える結果(判定など)に求めがちですが、前述したように自分は絶対受かるという気持ちを、たとえハッタリであったとしても持っておくことで、くだらない目先のアルファベットに心を持って行かれずに済みます。
試験当日の心構え
試験当日だから特別に早起きする、ということはせずにいつも通り7時に起き、いつも通り朝食を食べ、いつも通り着替えて家を出ました。当日はかなり冷えるのでカイロは必須です。
日吉に到着し、入室した後は単語帳をなんとなく見たり携帯をいじったりして試験開始を待ちました。当日見てびっくりしたのですが過去問持って来ている人がいました。過去問の範囲くらいなら当日までに仕上げて来いよって思いましたが、そこは人によって考え方が違うのかもしれません…。
当日も変わらず「俺は受かる」といった強気の姿勢で過ごしました。とはいえ緊張しないということは無理だったので「まぁ勝者でも緊張するのは当たり前だろ」と心の中で思いながら心臓の鼓動と和解しようとしました。
問題用紙が配られた後、10分ほどじっとして試験開始を待つ時間がありました。私はこの時間が死ぬほど嫌いでした。ただでさえ緊張しているのに、無音の状況にされるのがキツすぎて我慢できず私はトイレに行きました。
試験が始まってからのことはよく覚えていません。ですが総合政策学部の試験中に火災報知器が鳴って試験が20分中断されたのは覚えています。それと、前述した通り自分が今まで準備してきたことが当日に大当たりしたこと、英語の問題がかなり簡単になっていてテンションが上がったことは覚えています。
回答の仕方ですが、小論文に関してはとにかく「問題文を良く読んで要求を箇条書きにして答え漏らしがないようにする」を徹底しました。これは過去問に関して述べた時に触れましたが、練習でできていないと時間配分など含め厳しいものになると思います。
休み時間はご飯を食べたあと廊下に出て、同じ高校から一緒にSFCを受けた友達と試験と関係のないくだらない話をして笑っていました。今考えるととてもリラックスできて良かったです。
試験が終わってからはまっすぐ帰りました。大きな声でお互いの答えや小論のネタを言い合っている子が沢山いたので「全部俺の方が合ってるに決まってんだろ」と思いながらイヤホンを着けて遮断しました。試験当日は予想以上にいらない声が耳に入るのでぜひともイヤホンや耳栓を持っていくことをおすすめします。
最後に
最近の受験(特に私立)は非常に厳しい戦いになっていて、SFCももちろんその例外ではありません。数年前は一般受験の倍率が6倍前後だったこの学部も今では12倍前後まで来ています。産まれた時代を後悔するくらいの難易度ですし、受験が嫌になることも多くあります。
ですが、私は「とにかく自分は勝つ精神」を持って苦しくてもネガティブ思考から自分を切り離し続けることが大事だと思います。受験生はみな落ちた時のことを考えてしまうものですが、だからこそポジティブ思考、勝者思考を徹底させるだけで全SFC受験生上位5%に入れると思います。勝ち気に頑張って下さい。応援しています。