合格体験記の13回目は、一浪の末、受験した7つの大学(学部)にすべて合格し、2021年に慶應義塾大学総合政策学部に入学した、ダイキくんです。
ダイキくんは、現役時代にはゲームやSNSのやりすぎで生活習慣を酷く乱し、受験勉強どころではなかったのですが、浪人時代に自分を立て直し、ぐんぐん学力を伸ばし、無事第一志望校に合格しています。
大学受験生活で不安や悩みを抱えている方には、ぜひ参考にして欲しい内容となっています!
この記事の目次
はじめに
皆さん初めまして。慶應義塾大学総合政策学部一年生の、ダイキです。
早速ですが、私がこの合格体験記で皆さんに伝えたいことは、「勉強」というものを既成のイメージに固定して捉えるのではなく、日常の中で柔軟に考えながら合格のための道筋を探っていきましょう、ということです。
受験という大変な状況に置かれた皆さんは、親御さんや先生の熱い思いがかえってストレスやコンプレックスに繋がってしまう人もいるかもしれません。そのような時は、一旦自分と「勉強」との関係を俯瞰的に見つめ、気持ちを楽にしてみましょう。
少し冷静に考えて、日常を整理していけば、合格への道筋は思っていたよりたどりやすいものとなるかもしれません。
皆さんが受験を乗り切るための苦労を少しでも減らせたら幸いです。よろしくお願いします。
高校時代
私は高校生現役時代、受験勉強に思うように打ち込むことができず、当然望むような結果を得られなかったため、一年間浪人生として勉強しました。私がこのような高校時代を送ってしまった背景には、ネガティブな感情の渦に呑まれてしまったことがあると考えています。
私は、高校時代にゲームやSNSのやりすぎで生活習慣を酷く乱してしまいました。そのせいで学校に遅刻する日が増え、勉強する習慣も次第に崩れていきました。自分では正さなければいけないと分かっていても、なかなかこの習慣を良い方向に傾けることはできませんでした。
私は学校の先生や両親に責められ、自信や気力を失い、さらに悪い習慣に陥ってしまうという負の連鎖の中にいました。このような生活を続けるうちに、受験は刻一刻と近づいてきました。いつの間にか常に憂鬱な気持ちになってしまっていた私は、もはや受験と向き合える状態ではありませんでした。
もしかしたら、この記事を読んで下さっている皆さんの中にも、この頃の私に近い状況にある人がいるかもしれません。そんなあなたに、短期間で自分の気持ちを良い状態へと傾け、合格を射程範囲に捉えるためのヒントを、次の項目で具体的にお伝えします!
参考までに高校現役生で受験した時の私の学力を記したいと考えましたが、当時の私は模試を受ける気力すら持ち合わせていなかったため、偏差値などは不明です。
センター試験は五割ほどしか得点できませんでした。東京電機大学システムデザイン工学部、法政大学デザイン工学部などを一般方式で受験しましたが、全て不合格という結果でした。
浪人時代
以上のような暗い高校時代を過ごし、浪人することになった私は、少しずつ自分のなかで勉強の捉え方を変える努力を始めました。
高校時代の私にとって、勉強とは押し付けられるものだというイメージが強かったようです。浪人を始めた春に、一旦受験勉強から離れて、志望校である慶應大学の教授が執筆した音楽についての本を読みました。他にも、村上春樹さんの小説を何作か読んだり、前から興味を持っていた哲学の入門書に手を出してみたりしました。
私は高校時代まで理系で、文系的な学問に力を入れたことはありませんでした。しかし、この時の読書経験によって、人文科学や社会科学の面白さに気づきました。普段から親しんでいた音楽や小説が勉強につながり、毎日ニュースを見て社会について自然と考えることもまた勉強に関係することを発見しました。
このようにして文系学問へ関心を抱き始めた私は、浪人生の春に文転しました。それと同時に、「ナチュラルに興味を持って学ぶ」という勉強態度を身につけていきました。自分の中で、勉強は押し付けられるものというよりも、むしろ自分で探索していくものだ、というイメージが根付き始めていました。
勉強に対するネガティブな認識を払拭してから、毎日の勉強のために生活習慣を少しずつ改善し、不安や憂鬱さを感じることも少なくなっていきました。
浪人を始めた春に、このように気持ちを切り替えられたことは、私がこの後一年間勉強を続ける上で大変重要だったように思います。
もちろん、私は理系で頑張っている人に文転を勧めている、というわけではありません。私が伝えたいことは、それまでの勉強に対するイメージを一度疑ってみて、自分に合った分野を探すことの大切さです。受験期はどうしても焦ってしまうとは思いますが、どこかのタイミングで一旦冷静になり、自分が不安定な土壌の上をもがきながら、空回りしているのではないか、ということを確かめてみてください。
しっかりと自分が興味を持てる分野を見つけ出し、安定したモチベーションを確保してから受験勉強に臨みましょう!
今の学校にはメンタルサポートのカウンセリングを行っている方がいらっしゃることが多いです。学校の外にも、様々な悩みについて相談に乗ってくれる人たちがいます。
自分自身の受験や勉強に対する認識、イメージをスッキリしたものに変えることは難しいですが、メンタルケアを専門に学ばれている方に相談すれば、きっと状況は好転するはずです。
少しでも自分のメンタルやモチベーションに複雑さを感じることがあったら、勇気を出して誰かに相談してみましょう。
私の実際の勉強習慣
上手く気持ちを切り替え、悪い生活習慣を直すことができた私は、いよいよ受験をしっかりと見つめ、本格的に勉強を始めました。この項目では、私が浪人した一年間にどのような勉強習慣を持っていたのかを、時期ごとにお伝えします。
前提として書きますが、私は河合塾の大学受験科に通い始め、私立文系学部を目指すことを決め、国語、英語、数学の三科目と小論文の勉強を始めました。
浪人時代(4月〜6月)
春にまず受けた全統模試では、得意科目である英語と現代文の偏差値が共に65で、数学の偏差値は52で、古典の偏差値は50を下回りました。
この結果を受け、4,5,6月は苦手科目の力をある程度の水準にまで引き上げるための基礎固めをしました。その具体的な内容として、古典は単語と基本文法を把握し直し、数学は河合塾の授業で使った基礎問題のテキストを繰り返し解きました。
文系の学部についての知識がなかったので、自分が受ける学部を探すための情報収集を始めました。小論文対策に関しては、政治の仕組みやイデオロギーなどを体系的に学び始めました。この時期の1日の平均勉強時間は4時間です。
浪人時代(7月〜9月)
7,8,9月には、基礎固めの成果は十分に出ていました。
数学の基本的な定理や解答のプロセスを把握したので、インプットのスピードが次第に速くなっていき、問題を解くことが楽しくなっていきました。数学の中で特定の分野に固執することなく、試験に出題される範囲を広く浅く把握し、クリアな視界を持って数学の勉強にアプローチするように心がけました。
古典に関しては、共通テストレベルの実力はついていましたが、早稲田やMARCH上位学部の過去問にはまるで歯が立ちませんでした。そこで、私は受験に古典を使うことをやめました。
国語に関しては現代文だけで力を測る大学、学部もたくさんあります。皆さんもSFCの併願校として、そのような学部を探してみてもいいかもしれません。ちなみに、私がSFCを第一希望として設定したのはこの時期です。
小論文対策としては、自分の解答を予備校の先生に添削してもらい、反省点をまとめたノートを作って毎回フィードバックしていました。
この時期の1日の平均勉強時間は7時間です。
浪人時代(10月〜1月)
10,11,12,1月は得意科目の英語の力を磨き上げることに全力を尽くしました。また、過去問を解くことも11月に始めました。
英語に関しては、全統模試では安定して70以上の偏差値を取れるようになり、共通テスト模試の点数も9割を超えることが多くなりました。英語の具体的な勉強法に関しては、後の項目でお伝えしたいと思います。
国語と数学の偏差値は60くらいに落ち着きました。ここで特筆したいことは、過去問の勉強は必ずしも効果的とは言えないということです。タイムキープの練習や問題の傾向つかみをする上ではもちろん効果的ですが、問題集を使っての勉強に比べ体系的な理解を深めづらいというデメリットもあります。
自分の中で知識が整理されていないフェーズで、過去問研究に時間を使いすぎることは危険です。私は、SFCの過去問も含め、受けた大学の過去問はそれぞれ1から3年分しか解いていません。この時期の1日の平均勉強時間は7時間です。
英語はノートの取り方で決まる!
ここでは、安定して英語の偏差値を70以上にするための勉強法をお伝えします。重要なことは、「ノートは自由に、何度も描く」ことと、「単語力に頼らない」ことです。
まず前者について説明します。私が使っていたノートは、サイズが普通のものより一回り大きく、マス目や線のない無地のノートです。私はこのようなノートに、英語の文法や語法をひたすらメモしていました。一度理解した文法も、何度もメモすることが大切です。
一週間で一冊のノートを英文法、語法のメモだけで埋めてしまうこともありました。ノートが大きくて無地であるのは、より自由にメモを描くためです。紙の面積やマス目に囚われず、まるで自分の脳内に文法を削りつけるように、圧倒的なインパクトを持ってメモしましょう。図や絵を使うことも効果的でしょう。その意味であえて「描く」という表現を使っています。
次に後者の、「単語力に頼らない」ことに関してです。私は、「リンガメタリカ」という本を利用していました。この本は、学術的な英文とそれに対応する日本語訳文、そしてその英文に登場する英単語をまとめたものです。
この本の最も素晴らしい点は、英文と日本語訳文が見開き1ページにまとめられていて、英語と日本語の表現を照らし合わせながら読むことができるところです。私はこの本を使って毎日5個の英文を精読していました。
英語の勉強で重要なことは、単語力に頼ることなく、文構造を把握する力を伸ばして頭を使いながら英文を読めるようになることです。リンガメタリカを精読する練習は、その力を伸ばすためにとても役に立ちました。学術記事を読む際に必要な教養が添えられているところも、この本の魅力です。
小論文対策は、価値観の吸収力!
受験勉強へのアプローチの仕方として、最後に小論文対策についてお伝えします。
最も重要なことは、自分の意見を強調する前に、色々な人の価値観を吸収することです。大学の教授は、入試の小論文を採点する時、受験生が現代社会に対応できる知見を持ち合わせているかを判断します。
ここで教授に認めてもらうためには、社会について造詣の深い大学教授達の考え方を知っておかなければなりません。これは決して特定の教授のイデオロギーに迎合するべきだと言っているのではなく、アカデミックな場面で議論するために誰もが共有しておかなければならない考え方を吸収していこうということです。その上で自分の意見を持つことができれば、小論文のテストはクリアすることができるでしょう。
受験本番、その結果
私は7つほどの学部を受験し、その全てに合格しました。
合格した大学・学部の例
・慶應義塾大学総合政策学部
・東京理科大学経営学部
・青山学院大学経営学部
・中央大学国際経営学部 など
受験本番のメンタルを安定させるための方法として、2つお伝えしたいことがあります。
まず、自分の実力に対して簡単な大学を、2月の初めの方に受験しておくことです。成功体験があれば心に余裕が生まれ、第一志望校を受ける時のアドバンテージになるでしょう。
そして、家から受験会場までの移動に2時間以上要する時は、できるだけ会場近くの宿泊施設を利用することです。会場までの移動途中に、お腹の調子が悪くなったり、電車に乗り間違えたり、といったアクシデントが起こる可能性があります。そのような不安を消すだけで、本番に出せる力の量が変わってくるかもしれません。
振り返ってみて、一番伝えたいこと
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。記事全体を通して伝えたかったことは、既成の勉強に対するイメージを今一度組み立て直し、柔軟に受験にアプローチしましょう、ということです。調子良く勉強して、サクッと受かっちゃいましょう!皆さんの幸運を祈っています!