こんにちは。
今回は、慶應義塾大学環境情報学部・総合政策学部(慶應SFC)受験生の受験に役に立ちそうな本や人生観を広げてくれそうな本を紹介していきます。
タイトルに本番で出題!とありますが、実は僕は慶應SFCの受験直前で内容を知った本が総合政策学部の入試問題の資料として出題されました。つまり的中してしまったんですね。
受験にもしかしたら役に立つかもしれないと思った本が実際に役に立ってしまって僕自身も驚いていますが、それだけ方向性が正しかったということの証左かもしれません。
それでは、紹介していきます。
読書の入門編
読書について
読書については19世紀に生きたドイツの哲学者アルトゥル=ショウペンハウワーの著作です。
なぜこれを最初に持ってきたのか、その理由は大きく二つあります。
まず、何といっても、慶應義塾大学総合政策学部2023年度入試の資料として出題されています。これが上で紹介した的中した本です。
もう一つの理由は、タイトルにもあるとおり「読書について」哲学者の考えをまとめたものであるので、あまり本を読んだことがない人でも、たくさん読んできた人でも一度自分の読書スタイルを確立、もしくは再構築する良いきっかけになるのではないかと考えたためです。僕自身、受験当日の1ヶ月ほど前にこの内容を知ったのですが、今までの読書に対する姿勢を、人生観などを通して見直すきっかけになった一押しの本です。
詳しくは、ご自身で一度手に取って読んでみて欲しいのですが、簡単に僕が印象に残った点について幾つか紹介しますね。
まず、読書について重要なことは良書を読むことよりも悪書を読まないことだそうです。人生は思ったより長くないから、自分が時間を割くべき対象も見極めなくてはならないということです。また、ショウペンハウワーの言葉を借りるなら「読書は思索の代表品にすぎない」です。これらは高度情報化社会を生きる私たちの生活に警鐘を鳴らすメッセージとも取れるのではないでしょうか。
今やスマホを開けば「ちょっと気になるけれどよくよく考えればどうでもいい情報」が無限に流れてくるような感じがします。また、あらゆるサービスで他人の考えにすぐに触れられるようになったことで、自分で思考するのではなく、他人の膨大な意見の中から自分の意見に最も近いものを無意識に探している人が多い気がします。YouTubeのコメント欄などに共感するなどもその代表例の一つかもしれません。
このような環境を生きる僕たちに気づきを与えてくれる本になっています。
このように、100年以上前に書かれた本を大学側がわざわざ受験生に読ませるのにはきっと理由があります。
それを考えながら、ぜひ読んでみていただきたい本です。
思想・哲学系 #1
人生の短さについて
「人生の短さについて」は2000年ほど前を生きた古代ローマの哲学者セネカが書いた本です。
皆さんは、人生は短いと思いますか。この本のタイトルは一見、「ああなんて人生は短いんだ、儚いなぁ」という嘆きのようにもとれます。しかし、実際はその真逆です。「人生には偉大なことを成し遂げるための十分な時間が用意されている。それなのに人間はどうでもいいことに、無限に湧く泉の如く時間を浪費して気づいたら人生が終わっている」とセネカは厳しく指摘しています。現代を生きる僕たちの多くは、気づかないうちに多忙な日々を過ごし、自分の人生でやるべきこともちゃんとに考えないままただ時間を浪費しているのかもしれません。
Appleを一代で築き上げたスティーブ・ジョブズも「重要なことは何をやるかではなく、何をやらないかだ」と言ったように、僕たちはより一層、有限な自分の時間を何に使うべきか考えるべきなのではないかと思います。
自分の時間を何に使うべきか考えることは、すなわち自分が何に価値を置くかということです。そしてこの「自分がどのようなものに価値を置くか」というテーマはSFCにおいてとても重要視されています。世間からみたら価値のないものでも、その人一人に取って価値があればそれをとことん追求するべきだと考えるのが、SFCらしさだと、大学に入学して強く感じています。
ですから、受験勉強で忙しいと思いますが、受験対策にもつながると思いますので、ぜひ一度セネカを読んだ上で、このテーマについても考えてみてほしいです。
メモの魔力
メモの魔力はSHOWROOM代表取締役の前田裕二さんが書かれた本です。
著者の前田さんは無類のメモ好きで日常生活のあらゆる場面、全てと言っても過言ではないくらいの事柄についてメモし、考察している方です。
この本では、前田さんのお気に入りのメモ帳である「MOLESKINE」を使って、実際にどうやってメモを取られているか、どうしてそういった方法でメモを取られているのか詳細に書かれています。僕の推しポイントは以下の2つです。
- 具体・抽象化能力の向上
- 人生の羅針盤を作るための指南書
順番に解説していきます。
まず、具体・抽象化能力の向上という点です。人間が生きていく上で、コミュニケーションは必須と言って過言ではないでしょう。そのコミュニケーションにおいて重視される要素は様々だと思いますが、外せないのは「わかりやすさ」ですね。
そのわかりやすさの向上につながるのが具体・抽象化能力の向上です。相手に親しみのない事柄でも、相手に親しみのある物で例えて伝えることで、コミュニケーションは良好になっていくと僕は考えています。
そのための一歩として、メモを取ることは有効ではないでしょうか。
自分が日々生きていく上で、気づいたことを文字にしてそこから抽象的な学びを得る。そして、その抽象度の高い内容を別の分野に持ち込み、具体化してみる。
そうした行為をメモ上でし続けることで、言語を思い通りに使う力は磨かれるのではないかと思うのです。メモの具体的な取り方は、本に全て記載されていますので該当箇所を探してみてくださいね。
次に、人生の羅針盤を作るための指南書であるという点です。
前田さんは早稲田大学を卒業後就職されるのですが、その就活の際の自己分析を日本トップレベルでやってやろうと考えたそうです。自分の過去のことから現在、未来のことまでノート何冊にも渡って自分とはなんなのかをメモし続け、考え続けたのは相当な努力と執念の賜物でしょう。
これが慶應SFCの受験とどう関わってくるのかという話ですが、慶應SFCは「あなたはどうしたいのか」「あなたなりの考えを教えてください」という問いかけをよくしてきます。これはアドミッションポリシーや様々な大学の発行物にも記載がありますし、入試問題にも明記される場合があります。これだけ個人のオリジナリティを評価しようとしている大学学部はとても珍しいでしょう。
ですから、他大学・他学部の入試についてでしたら自己分析は大学受験対策とは言い難いのですが、ことSFCの受験においては自分についての解像度の高い理解と言語化能力が非常に重要なポイントになってくるんですね。
そこで、参考になるのがこの本の著者の自己分析に対する姿勢であったり、実際に本の巻末に載っている自己分析のためのクエスチョン集だったりします。
前田さんは、自己分析の経験を踏まえて「こんな質問を自分に投げかけてみると自分についてより理解できるのでは」と考えた詳細な質問項目を「メモの魔力」の巻末に掲載してくださっています。
ベテランのビジネスマンが読むことも想定されていますので、20代を振り返ってなど、10代ではまだ答えられないような質問も多くあります。ですが、子供時代についてや自分の価値観についての質問は考える価値のあるものだと思います。
メモの取り方についても非常に考え抜かれて、合理的だと思いますのでぜひ自分に取り入れられるところがあったら検討していただきたいと思います。
僕の話になってしまいますが、メモの魔力に中学生の時に出会ってから、僕はメモを取り続け今では5冊目になりました。ペースはまだまだですが、確実に自分の人生に対する解像度を上げてくれた本なので、ぜひ手に取ってみてください。
終わりに
いかがだったでしょうか。
今回は、慶應義塾大学環境情報学部・総合政策学部(慶應SFC)受験生の受験に役に立ちそうな本や人生観を広げてくれそうな本を紹介していきました。
あと2回にわたっておすすめの本を紹介していきます。(次回はこちら)
なぜこうしたチョイスにしたのかというと、理由は様々あります。ですが、慶應SFC両学部に合格し、通っている立場として感じていて、どうしても皆さんに伝えたい、1つのことがあったからです。
それは「自分の価値観を大切にする」ということです。本の紹介の部分でも触れましたが、SFCはどの入試方式でも「あなたがなぜそれをするのか」「あなたなりの視点で」などといった問いかけが多いです。
他の誰でもない、自分が何を考えているのか、何を見ているのかを問われるのです。
ですから、あなたが何者であるかをできるだけ詳細に言語化することに役立てたり、あなたの興味をもしかしたら伸ばしたりできるのではないかという基準で、これらの本を選びました。
皆さんの受験勉強の役に立てたり、視野を広げたり、普段読まないジャンルの本への興味を掻き立てられたりしたらこんなに嬉しいことはありません。
受験勉強応援しています。