この記事の目次
はじめに
はじめまして。2021年に慶應義塾大学環境情報部に入学した、環境情報学部3年の、にしと申します。
私は中学では良い成績を収めてきましたが、高校入学後はみるみる学力が低下し、クラス最下位近くまで順位が落ちたこともあります。受験勉強をスタートしたのも高校3年スタート時で決して早いとは言えません。しかし、そこから現役でSFCに合格することができました。この合格体験記が、過去の私と同じように低い成績と迫り来る受験に対して悩んでいる皆さんの助けになればと思います!
プロフィール/受験校
名前 にし
出身高校 西南学院高校(福岡県)
受験結果は、
慶應義塾大学環境情報学部→合格
自己採点 英語 約130点
慶應義塾大学総合政策学部→不合格
自己採点 英語 約120点
です。いずれも受験形式は、英語・小論文でした。
私はどうしてもSFCに入学したかったので、受験直前の1月に科目を英語と小論文に絞り、いちかばちかSFCだけを受験しました。1科目の勉強時間は確保できますが、不合格時のリスクは大きいのでオススメはしません。それでは、具体的な対策を見ていきましょう。
SFC英語対策について(学習の要点と参考書)
①単語
単語については関正生先生の「STOCK3000」「STOCK4500」を使用していました。この参考書の良い点は、単語ごとに豆知識が書かれているので楽しく勉強できて、かつ覚えやすいところです。熟語やイディオムの習得も重要で、私は「速読英熟語」を使用していました。これらを完璧にしてしまえば、あとは過去問に取り組み、知らなかった単語はすべて覚えるようにしましょう。私の場合は文章の上に日本語訳を直接書き込み、何度も音読しました。
音読はとても重要で、何十回も音読することで英語を英語のまま理解できるようになります。SFCの文章量に対応するためには、英語を日本語で考え直す時間はありません。音読の方法は人それぞれですが、最初はとにかくがむしゃらに音読するだけで大丈夫です。慣れてきたら、試行錯誤しながら自分なりのコツを身につけていきましょう。
直前のもう一押しとしてお勧めしたいのは、同じく関先生の「FINAL時事英語 新訂版」です。専門的な用語が多く登場するSFCの長文対策には「リンガメタリカ」という単語帳が定番として挙げられますが、出版年がかなり前なので話題が古いです。このFINAL時事英語には「AI」や「トランスジェンダー」といった、比較的新しい話題の文章と単語が掲載されているので、最近の受験問題に頻出する単語を習得することができます。
②英文解釈
ここ10年の傾向で考えると、SFCの英語の文章で和訳問題が出題されたことはありません。とはいえ、あの量の文章を引っ掛かることなくすばやく読み進めるためには、マラソンの高地トレーニングのように、難しい文章に触れておくことも必要です。
英文解釈については、西きょうじ先生「ポレポレ英文読解プロセス50」を使用していました。こちらの難易度が高いと思った場合は同じ西先生の「英文読解入門 基本はここだ!」から始めるといいでしょう。この2つの参考書は2023年10月現在、YouTube上で著者本人の解説動画が公開されています。こちらも合わせて視聴すると、より深く学ぶことができます。
③長文読解
SFCの長文に対する最も大きな印象は、「同じことを何度も言う文章が多い」ことです。評論文は必ず、筆者が読者に対して伝えたい「主張」と、その主張に正当性があるという根拠を示す「具体」に分けられます。
例として「将来AIはより広く活用される」というのが主張であれば、その具体として「どのような実験が行われているのか」「AIを導入することでどのような利点があるのか」「予想される反論に対する回答」等が加えて書かれます。具体は色々と羅列されていても、主張は一つに定まっていることが多く、英語の表現を変えて何度も文章に登場します。このような文章の構造を理解しておくことで、長文を読み進める中、自分が今何を読んでいるのか迷子になることを防ぐことができます。
さらに、文章の中で分からない単語が出てきたとしても、その文章が主張なのか、または具体なのかを掴めれば、なんとなく文脈や言いたいことが分かります。SFCのような難解な単語のパレードを突破するためには、長文全体がどのような構成になっているのかを広く見る力が鍵となります。
教材に関して、私は東進衛生予備校で西きょうじ先生の「飛翔のための英文読解講義 標準・応用」「慶應義塾大学過去問演習講座」という講座を取っていました。東進に入っていないと受講はできませんが、長文は参考書や過去問でも代替しやすいです。
オススメの参考書としては、解説が充実していて、SVOCなどの五分型が記載されているものが自習しやすいです。音読用の音声がついていると復習しやすいです。
過去問も少なくとも環境情報・総合政策10年分は解いておくと良いでしょう。両学部の問題形式に違いはないのでどちらも取り組みましょう。トピックは環境情報はテクノロジー関係が、総合政策は政治経済関係が多いです。
長文に関しても、解いた後は何度もその文章を音読して自分のものにしてください。
SFC小論文対策について
SFCの小論文に関しては、一見対策が取りにくいように思えます(特に環境情報)。
しかし求められているのは大きく、
①幅広い知識
②「SFCにおいて特にこの分野に熱心に取り組みたい」といえる専門的な領域
③自分の主張を伝える論理的思考
+α 数学的素養
の4つであると考えます。
①を身につけるために最も効果的な方法は、早い段階から多くの本を読んでおくことでしょう。書店を歩いてみて、自分の関心がある本を手に取ってみましょう。私のおすすめは、
・(せっかくなので)SFCの教授の書籍
・「講談社現代新書」シリーズ
です。特に読んでおくべきだと感じたのは、小熊英二総合政策学部教授の「社会を変えるには」です。日本社会の構造や政治哲学について広く学べます。
早めに始めることを推奨する理由としては、直前で詰めこんだからといって文章に落とし込めるとは限らないこと、他の教科の勉強もしなければならない中コストパフォーマンスが悪いことが挙げられます。その点、直前期は新聞を読んだり、ニュースを見たりする等、自分の残り時間と相談しながら知識を身につけていきましょう。
SFCは例年、②の自身の興味分野があると書きやすい問題が多いです。特に定まっていない人もそれが当たり前なので安心して下さい。本を読むことで、新しい発見や興味、社会に対する問題意識を得ることができます。幅広い分野の知識を持ちながらも、どこか特定の分野に関しては特に強い関心があることが理想だと私は考えます。
③の論理的思考について、SFCの小論文は多くの場合、問いに対する皆さんの考えを求めてきます。ここで重要なのは、なぜその考えに至ったのかの思考の過程を論理的に記述する力です。ここが欠けていると大幅に減点されます。この対策については「とにかく指導してもらう」ことです。指導者は、高校の国語の先生、または小論文の個別指導講師を推奨します。
私は福岡に住んでいたので高校の近くにあった「赤井塾」という個別指導塾でほぼ1年かけて対策しながら、直前期は高校の国語の先生にも見てもらっていました。英語や数学と違い、答案がよく出来ているかどうかを自分一人で判断することは難しいです。
友達や家族に見せるのもいいですが、やはり1番はその道のプロに任せることが近道といえます。理想の演習量は、個人差があるので一概には言えませんが、私は環境情報・総合政策共に10年分、その他の大学の小論文も大量に取り組みました。とにかくたくさん書いて見てもらうことを繰り返すことで、確実に力は付きます。
最後に数学的素養について、昨今のSFC小論文のトレンドとして高校基礎レベルの数学・論理問題が出題されることが多くなりました。この部分を落とすのはとても勿体ないですので、仮に数学を使わない人もこの程度の数学力は身につけておくと良いでしょう。
1番伝えたいこと
私が最も受験で苦しんだのはスマホです。気付いたらYouTubeやX(twitter)を見ていました。この対策としては「とにかく物理的距離を取ること」。家にスマホを置いて図書館の自習室に行ったり、親に預けたりして触れないようにしてしまいましょう.
それさえクリアできればあとは気合いです。勉強は効果的な方法でやることは大切ですが、実行しなければ意味がありません。こだわりすぎず、時にはがむしゃらに机と向き合いましょう。そのための睡眠、入浴などの休息は必要不可欠です。高い質で勉強できれば、休息の時間は確保できます。
今日より明日が有意義な時間になることを、そして最後には皆さんの努力が実を結ぶことをお祈りしています!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!