慶應SFC小論文 過去問答案例・解説

慶應義塾大学 環境情報学部2023年 答案例・詳細解説 #2

こんにちは。

本記事では慶應義塾大学環境情報学部2023年度の入試問題の解答例をお見せした上で、解説したいと思います。
これは私が入試本番に書いた回答に基づいており、結果としては補欠合格をいただいてから繰り上がりました。

入試本番この問題を解いたからこそわかる視点も含めて解説していきたいと思います。

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慶應義塾大学 環境情報学部2023年 問題設定の背景

まず、この問題設定についてSFC受験生なら読んですぐ気付いてほしいことがあります。
それは、Bさん夫妻の新居の周辺環境は湘南藤沢キャンパスのそれと近いことです。
SFCは最寄りの湘南台駅からバスで15分弱の場所にあり森に囲まれています。
私はこの問題を試験会場で見たときに「出題者である教授はキャンパスの豊かな自然を誇りに思っているんだなぁ」と感じたことを覚えています。

慶應義塾大学 環境情報学部2023年【答案例】

それでは、各問題の解説に移ります。

この問題は、文献Aと文献Bについて通底していることを論じなさいと書いてありますが、基本の型としては文献Aでは〇〇という点、文献BではXXという点が、△△という意味で通底している。

というような形で書けば良いと思います。採点する方の気持ちになると、受験生の答案を何百枚も、それも一週間弱の間に全て見て点数をつけなければならないわけですから、「自分はちゃんと先生方が言いたいことがわかっていますよ」ということが明快に伝わるように書くべきでしょう。そのため、私個人としては設問1、2、5については多少の言い回しは変われど上のような型で統一した書き方をするべきと考えています。

以下に、解答例を示していきます。

設問1

文献1では献立は料理名ではなく、その日の自分の感覚を使って自然からやってくるものとどう呼応するかを考えるものであるという点、文献2では自己と他のものとが交感する中でリアルが形成されるのにそれが損なわれたという点が自分と他との関わり合いを重要視しているという点で通底している。

設問2

文献1は自分の無限の経験と今目の前にあるものから受ける刺激を重ねて悟性をはたらかせ、予測をすることで判断するトレーニングをすることの重要性という点で、文献3は、短歌では社会的に価値のあるもの、強いものなど一見良いとされそうなものではなく社会的に価値のないものなどを詠むべきであることが直感的にわかるという点でどちらも自身の感性を重視している点で通底している。

設問3

文献4では我々の身のまわりの現象の中に、いまだに解けていない問題がたくさんあることは知っておく必要があり、自然現象は複雑なものであること念頭におくべきと主張している。それゆえ定量的研究以前にその対象が自然の実態をよく表しているかを十分よく知る必要があるという旨が見て取れる。これは文献3における、短歌の世界では社会的に価値のあるものなどより社会的に価値のないものなどの方が詠む対象としてふさわしいということと、一見重要とされるべきことでも見方によってはそうでなくなるという点で通ずる部分がある。

設問4

文献2の自己の身体と他の生き物や人たちの交感する中で時間をかけてリアルが形成されるという点と、文献5の物を外から手段として考え、手段としてみるのではなくその中に入ってその気持ちを理解するようになって初めて手段としても役に立つようになるという点が、自己と他との関わり合いを重視している点で通底している。

設問5

文献5では桜由来の染料による美しい織物を作る過程を例として、桜と共に生き、考えると桜を手段として役に立てることができる、つまりその中に入って気持ちを理解するように調査することが重要であると主張している。一方文献4では測定によって得られた数字が自然の実態を表していないなどの場合科学的価値は少ないから、量的研究の前の定性的研究でどの性質が重要か見極めることが肝要であると主張がされている。これらは、対象物を客観的な物差しで外側から測るのではなくその性質に重きを置いているという点で相通じるものがある。

設問6

設問6(a)

新しい土地に移住したことによってBさん夫妻は自分達とそれを取り囲む新しい環境に目を向けることになるだろう。それは、豊かな自然はもちろん都市とは異なる地域に根ざす人々の関わり合いも含まれる。そうした変化の中で自分達が都市に住んでいたときには失われていた、自らの感覚により意識を向けた生き方や温かい近隣住民との関わり合いを体験し、工業化が進み続ける現代に強く違和感を持つようになるはずである。そこでBさん夫妻はそれぞれ自分なりの哲学体系を構築することになり、Bさんはそれを小説として、妻は彫刻として表現し比喩や象徴をふんだんに用いた形で自分達の考えを世の中に訴えかけていくだろう。

設問6(b)

AさんはBさん夫妻の住まいかたや暮らしかたについてヒアリングするだろう。それでも聞いた情報だけでは物足りないと感じ、夫妻の生活の内部に入り込んだ調査を考案するだろう。まずはBさん夫妻と一緒に共同生活させてもらえないか頼み込むだろう。それでは飽き足らず次の2点の実験調査をしようと思うと考える。建築とその建築に住む人の観点だ。前者についてはBさん夫妻の庭かもしくは近くの土地を借りて、SFCのβヴィレッジのように建物を建ててみる。夫妻が建てた家の他に、住まいかたはないだろうか?と考え、実際にそれを体現することでBさん夫妻の住まいかたのありさまが相対化できる。しかし、建築物を建ててもそれを考察する人間は今のところ主にAさんだけになってしまう。そこで、Aさんはもっと多様な価値観から夫妻の住まいかたについて調査したいと考え、夫妻から許可を得て、性別も国籍も年齢も様々なAさんの友人を研究に巻き込んで、一緒に考察していく研究方法を考案すると考える。こうすることでAさんは自身の価値観も相対的にみることができるようになるため、夫妻の住まいかたの内側に入った上で、その調査や考察を相対的に見られるようになる。

まとめ

いかがだったでしょうか。

この問題は、近年の過去問と比較すると発想を求められるという傾向からは打って変わって文章を大量に読まされ、それを元に記述する傾向に変化したため戸惑った人も多かったでしょう。
しかし、冒頭でも記述したように、環境情報とは何か日頃から学んでいた人SFCについてよく調べていた人にとっては全ての問題が環境情報の定義やSFCの特徴を題材にしているということが見えてきたはずです。
小論文は受験の対策の中でも雲を掴むような対策しかしにくいというイメージがあると思います。
しかし、大学受験の本質、つまりその大学への適性がどれだけあるか測る試験であるかを考えたら、自ずと対策すべきことは見えてくることでしょう。

世間に蔓延る一朝一夕のテクニックだけに頼ることなく、やるべきことをこなして、合格を掴んでほしいと願っています。

なお、慶應義塾大学環境情報学部2023年の別解は、下記よりご覧ください。

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ABOUT ME
カイ
慶應義塾大学環境情報学部1年。 受験生時代に小論文のトリセツサイトにお世話になり、現役で環境情報学部・総合政策学部にW合格。受験科目は英語+小論文。 自身の受験の経験や現役慶應生であるという立場から皆さんのお役に立てる情報をお伝えしていきます!

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