慶應SFC小論文 過去問答案例・解説

慶應義塾大学 環境情報学部2024年 答案例・詳細解説 合格答案(別解)

本解答例は私が試験本番で書いて、合格を頂いたものに基づいて作成しています。
また、試験中に考えていたこと等も解説に記述しています。

本サイトには私の合格体験記も掲載されているので、是非合わせてご覧ください!

慶應SFCインテンシブコース

慶應義塾大学 環境情報学部2024年 【問題】

慶應義塾大学環境情報学部および総合政策学部では、開設当初から入学試験に小論文を取り入れてきました。この小論文の試験では、資料として我々が入学試験で出してきた過去問題および要旨とその解答例・解法例を引用しました。以下の設問に解答してください。

設問1)
過去問題1、2、3は、環境情報学部または総合政策学部の過去の入学試験で出題された小論文の問題の抜粋とその解答例です。これらの問題は受験生のどんな知的能力を測ろうとしてこれらの問題を出題したのでしょうか。過去問題1、2、3にある問題の抜粋および解答例から、これらの問題に共通する領域と構造、受験生に求めている知的能力について考え、300字以内で記述しなさい。
(この設問ではそれぞれの小論文の問題が取り上げた資料を掲載していませんが、それらを読まずとも解答することができます)

設問2)
過去問題4、5、6は、環境情報学部または総合政策学部の過去の入学試験で出題された数学の問題とその解法の例です(ただし解法はひとつとは限りません)。これらは高度な高校数学の計算手法を身につけていなくても正解できる問題ですが、これらの問題には通底する出題意図があります。受験生のどんな知的能力を測ろうとしてこれら問題を出題したのでしょうカ、。過去問題4、5、6の3つの問題と解法例から、これらの問題に共通する構造、受験生に求めている知的能力について考え、300学以内で記述しなさい。
(この設問では引用したそれぞれの数学の問題について解答する必要はありません)

設問3)
今から4年後の2028年2月に、湘南藤沢キャンパスで新しい大学入試のあり方を問うコンテストが開催されることになりました。環境情報学部に入学してからあなたが発揮してきた思考の特徴が評価され、あなたがそのコンテストの出場者に選ばれました。そのコンテストでは、新しい大学入試の土台となるようなプロトタイプ(試作品) としてのミニ試験を提案します。コンテストの当日には提案されたそれぞれのミニ試験を環境情報学部の 1年生5名ずつが受験します。
そしてすべてのミニ試験は以下の4つの要件を満たす必要があります。

[要件1]設問1)および設問2)で解答した知的能力に加えて、あなた自身の思考の特徴を発揮できること
[要件2]本番の入試では多くの入学希望者の中から合格者を選抜する必要があるため、

ミニ試験もそうした働きを備えるべく、受験する5名のある知的能力が何かしらの基準を上回っているかを調べるか(数値化する)、もしくはその5名をその知的能力の順番に従って並べ(相対化する)られること

[要件3]そしてその数値化や相対化の作業を行うにあたって、第三者の誰かもしくは何かが採点や評価をしたり、受験者がお互いに比較したりする等の仕組みも考えること
[要件4]慶應義塾大学の環境情報学部が実施する入学試験(この一般選抜および総合選抜(AO入試)など)と全く同じ形式は避けて新しい形式を考えること

慶應義塾大学 環境情報学部2024年 【答案例】

 

設問1

 慶應SFCの小論文の入学試験は、社会変動の文脈を捉えてそれに対応できる受験生自身の哲学体系の有無を評価するものだと考える。また、共通する領域として、社会的秩序の変化とそれに対する人間の在り方という主題が扱われていることが挙げられる。そして共通する構造としては、複数の資料の論旨を整理させた上で、未来志向の意見論述を課す点が挙げられる。ここで求められる知的能力は、問題を俯瞰的に観察し、原因や本質は何なのかを構造化する分析力とそれを説得的に説明できる論理的思考能力だと考える。この能力は、学部生のうちから自発的に研究活動を行うSFCにおいて重要な力で、SFCもその素養がある学生を求めていると考えられる。

 

設問2

 慶應SFCの数学の入学試験は、実験や推定を繰り返して法則性を導き出す知的能力を測るものだと考える。なぜなら問題文にもある通り、解答にあたっては高度な計算能力は不要であり、むしろ推論を繰り返す地道な作業が重要であるためである。また共通する構造として、数式が登場しないことと現実に即したシュチュエーションであることが挙げられる。これらの点からも、単に数学力を求めているわけではないことが読み取れる。そしてこれらの能力は、学部生のうちから研究活動を行うSFCにおいても重要な力である。限られた時間や技術、アセットを活用し、問題解決へのプロセスを構想する素質のある学生をSFCは求めていると考えられる。

 

設問3-1

①問題の本質を観取する能力

②問題解決までのプロセスを構想する能力

③問題を自ら定義する能力


 私が提案するミニ試験は、知識や経験に依拠しない問題発見能力を測ることを目的とする。また、この能力は現在行われているAO入試や一般選抜試験で評価するには限界があると考える。AO入試は、受験生の行ってきた研究等の活動をもとに面接を経て合否を判断する。だがそれらは各自の経験に依存することが大きく、入学後に新たに問題を発見し、柔軟に対応できる能力があるかの判断は難しい。また一般選抜試験では基礎学力が重視され、制限時間や採点基準がある点では公正といえる。だが、科学実験的で受験生の創造性や柔軟性の評価は難しい。そこで、ミニ試験でこれらの点を克服し、慶應SFCが求める個性や柔軟性を持った受験生を評価できると考える。

 

設問3-2

 私が提案するミニ試験を行うにあたって、まず日吉キャンパスの図書館を開放する。それに伴い図書館に近い教室も開放し、SFCの教員を何名か専門分野ごとに分類し配置する。試験内容としては、ネット検索やAIを活用して各自で現在どのようなものが社会問題として挙げられるのかを考えて、一つに絞る。その後、図書館内にある本や資料、SFC教員を活用し、先行研究や参考文献を集めて引用し、最終的に一つの論文で独自の見解や解決策を提案するというものである。またこの論文は誰かと共同で作成し、共同論文の形を取っても良いこととする。図書館で同じブースにいる人と自由に声を掛け合い、意見交換をすることも歓迎する。
 次に評価方法としては、一般選抜試験の小論文の形式を一部踏襲する。採点担当の教員を用意し、論文の作法があるか、説得力があるか等を評価する。これを全体の50%の配点とする。残りの50%は、受験生が提唱した問題に対して学問、方法論的に近い研究会を1つ選抜し、その教員と学生が論文をもとに評価を行う。もし希望があれば受験生が研究会を指定することも可とする。ここでの評価対象は、研究会とマッチしているか、一緒に研究がしたいと思ったか等に設定し、採点を行う。また、採点は教員と学生で3:2の割合で点数を持ち、学生は1人10点の持ち点をもとに点数をつけ、人数に応じて等しく圧縮するという方法を採用する。
 また共同論文という形で論文を提出した受験生達のうち、合否の判定に必要な場合にのみ、口頭試験を行う。口頭試験では、問題に対する理解度の深さやその場での思考力、コミュニケーション能力を評価する。これで相対化を行う。

 

 

慶應義塾大学 環境情報学部2024年 【解説】

上の答案を作成するにあたって、試験中に考えていたことやポイントを具体的に解説していきたいと思います。設問順に見ていきます。

設問1

小論文の試験で小論文の出題意図を問う、という斬新な内容に驚いた方もいるかもしれません。ですが、この問題はSFCの特徴を理解していればかなり解きやすい問題だと思います。まず注目してほしいのは資料が複数用意されている点です。今年度の問題もそうですよね。

そして、私は問題の意図に加え、なぜそれを意図した問題をSFCは出題しているのかまで掘り下げて考えました。そこで、SFCの研究風土や理念について言及して全体をまとめるような形で回答しました。多くの人は出題意図のみを回答していたのではないかと思います。この点で周りとの差別化を行えたのがよかったのではないかと考えています。

時間は25分ほどで答案を作成しました。(赤本の解答例も資料として用意されていますが、私は本番では読んでいないです。読んでいたら時間内に終わらないと判断したためです。)

設問2

数学が題材になっていますが、数学受験でない方でも要点を抑えれば、高評価が期待できる小論文を書くことが出来ると思います。私も数学受験ではありません。数学が分からなくても、3つの問題の共通点や[解法の例]からキーワード見つけて答案を作成しましょう。ここでも設問1と同じく、出題意図とSFCの関係を考えて、より解像度の高い答案に出来るように意識しました。

私は本番では「数式が登場していないこと」「現実に存在しうるシュチュエーション」という特徴に言及し、「思考プロセスを重視している」という結論に結び付けました。

この思考プロセスというのは、数学を勉強したことがある方はピンとくるかもしれませんが、実験・推定・帰納法のプロセスに近いですね。時間は20分ほどで答案を作成しました。

 

設問3-1

これまでの回答を一言でまとめて、③に自分の考えた能力を書きましょう。ですが短くまとめすぎると相手に伝わらないので、〇〇な能力や□□する能力というように形容詞を補い分かりやすい形にしましょう。

設問3-2

かなり自由度が高い問題で、私も最初は戸惑いましたが本番では45分ほどかけて答案を書きました。私が本番で考えていたことは、完全にオリジナルなものを生み出すというよりは、既存の試験形式を良いとこどりするように組み合わせつつ、デメリットを克服するには何が必要かということです。そこから派生して、知識・経験勝負にならない、純粋な探求心や発想力を評価対象とするミニ試験を提案しました。

このように最初に思考のフレームワークを定めてしまうことで、効率よく、沼にハマらず考えることができると思います。

 

慶應義塾大学 環境情報学部2024年 【講評】

2024度もやはり特徴的な問題でしたね。

ですが、小論文の基礎を十分に身に着けていて、SFCに入学したいという気持ちがあれば合格レベルの答案を書くことができるような問題だったと思います。

SFCの問題用紙は1p目が何も書いていないので、問題文がほんの少しだけ透けて見えるのですが、私自身それで問題文冒頭を見て合格を確信したのを今でも覚えています。常に小論文の出題意図を考えて過去問を解いていた僕にとって、またインテンシブコースでSFCに特化した勉強をしていた僕にとって相性の良すぎる問題だったからです。試験開始前にニヤニヤしていました。それが心の余裕にもつながって最後の問題も考えられたと思います。

是非これから受験に臨まれる皆様も、気負いすぎずに楽しむ気持ちをもって最後まで頑張ってください。全力でサポートします。

なお、環境情報学部2024年の別解はこちら

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2024年度慶應義塾大学環境情報学部入学。 半年間の仮面浪人を経て、一般入試英語受験にてSFC合格。 仮面浪人の経験やSFC受験に役立つ情報を発信していきたいと思います。 インテンシブコースにてコーチを担当中。

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