都内の私立高校(偏差値72)を自主退学し、スイスのボーディングスクールへ進学。評定2以下、特筆すべき実績もないという状況から、AO入試の仕組みを徹底的に分析し、慶應義塾大学 環境情報学部に合格したA.Uさんの体験記です。
海外トップ大学(世界ランキング100位以内5校)にも同時合格を果たした、独自の「入試設計論」をお届けします。
この記事の目次
自己紹介
慶應義塾大学 環境情報学部にAO入試で合格したA.Uです。
高校時代は必ずしも一般的な評価指標において有利な状況ではありませんでしたが、技術への関心と、それを実装まで落とし込む活動を軸に受験を行いました。
結果として、評価軸に適応するのではなく、自分自身の思考や問題意識をどのような構造として提示するかに重点を置いた受験となりました。少し特殊な経歴ですが、SFCのAO入試を考えている方の参考になれば幸いです。
プロフィール
| 出身 | 日本 |
| 出身高校 | 地元の私立高校(偏差値72)を退学 → スイスのボーディングスクールを卒業 |
| 評定 | 2以下 |
| 学部 | 環境情報学部 |
| 主な実績 | 特筆すべき実績はない |
受験結果
- 慶應義塾大学 環境情報学部 合格
- 海外大学(複数校)合格 ※世界ランキング20位以内3校/100位以内5校
SFC合格までの歩み
小学校・中学校時代 ― コンピュータとの出会い
小学生の頃、最先端のコンピュータ技術に触れる機会があり、そこで「計算処理の効率が社会に与える影響」を初めて意識しました。この経験を通して、コンピュータは単なる道具ではなく、社会の構造そのものに影響を与える基盤であると認識するようになりました。
中学ではその関心を具体化するためにPCの自作を始め、ハードウェアレベルでの理解を深めました。単に動作させることではなく、「なぜその構成が最適なのか」を考えるようになったことが、その後の思考の基盤になっています。
高校2年生 ― 関心が「性能」から「資源配分」へ
PC制作を単なる趣味で終わらせず、性能・コスト・用途のバランスを考慮した設計へと発展させました。用途ごとに最適な構成を考える中で、世の中には過剰スペックや非効率な資源利用が多く存在していることに気づきました。
この頃から関心は「性能を上げること」から「限られた資源をどう最適に配分するか」へと移行しました。ここで重要だったのは、技術的な性能だけでなく、その使われ方や環境まで含めて設計対象として捉えるようになった点です。
高校3年生 ― 成績低迷を「仕組みの問題」として再設計
学業面で課題に直面しましたが、その原因を単なる努力不足として捉えるのではなく、自分の特性と学習構造の問題として分析しました。そこで、長時間の継続的学習ではなく短時間集中型へと切り替え、暗記中心から問題演習中心の学習へ再設計しました。
結果として成績は大きく改善し、この経験から「成果は努力量ではなく、仕組みの設計によって規定される」という認識を得ました。この考えは、その後の受験戦略にも直接的に影響しています。
SFCを志望したきっかけ
PC制作や構成提案を行う中で、まだ十分に使える計算資源が廃棄されている現実に強い違和感を持ちました。これは単なる性能不足ではなく、「用途と資源のマッチングが最適化されていない」という構造的な問題であると考えました。
この問題意識から、使われていない計算資源をネットワーク上で共有し、再配分する仕組みを構想しました。このテーマは技術だけで完結するものではなく、社会制度や経済合理性と密接に関わります。そのため、分野横断的に学びながら実装まで行える環境が必要であり、その点でSFCが最も適していると判断しました。
SFCに向いている人とは?
SFCに向いている特定の人物像があるとは思いません。むしろ「このような人が向いている」と定義できてしまう時点で、その枠組み自体がSFCの本質から外れていると感じます。
あえて言うなら、既存の評価軸や前提に対して無自覚に従うのではなく、それを疑い、自分なりの問いを持てる人が、結果的に適性を持つのではないかと考えています。
私の入試攻略法
「評価される側」ではなく「評価軸を設計する側」に立つ
自分は、この入試を「評価される側として最適化するゲーム」ではなく、「評価軸そのものを設計する場」だと捉えました。多くの受験者は、自分の実績や経験を既存の枠組みに当てはめ、その中で相対的に上位に入ることを目指します。しかし、自分はその枠組み自体が前提として固定されていることに違和感を持ちました。
そのため、与えられた評価基準に適応するのではなく、自分の思考や経験がどのような構造を持っているのかを先に定義し、その構造が自然に評価されるように全体を設計しました。
志望理由書・自由記述・面接を「一つの思想」に統一する
志望理由書、自由記述、面接といった各要素を個別の対策として扱うのではなく、すべてを一つの思想の異なる表現形式として統一しました。受験生の多くは各書類・面接を別物として準備しがちですが、思想が一貫していれば、どの切り口から見ても同じ軸が浮かび上がるため、一貫性という評価観点で圧倒的に有利になります。
自由記述であえて「白紙」を残した意図
さらに、その設計を最も端的に示すために、自由記述においてあえて一部を白紙にするという選択をしました。これは単なる奇抜さを狙ったものではなく、「何を書くか」ではなく「何をあえて書かないか」まで含めて自己表現の一部であるという考えに基づいています。
情報を過剰に提示するのではなく、余白によって思考の構造や問題意識を浮き上がらせることを意図しました。つまり、自分の戦略は「内容の優劣」で勝負するのではなく、「構造そのもの」で評価される状態を作ることにありました。
※受験生への注意点
この「白紙戦略」は、あくまで全体の思想設計が徹底的に練られていて初めて成立するものです。同じ手法を表面的に真似ても奇抜さしか残らず、評価には繋がりません。再現すべきは手法ではなく、「提示全体を一つの意思決定として設計する」という思考の姿勢です。
AO入試合格のポイント
この入試において重要なのは、個性や実績そのものではありません。重要なのは、「自分の思考をどのような構造で提示できるか」です。評価されているのは結果ではなく、その背後にある認識の仕方や問題の捉え方にあります。
したがって、単に経験を並べたり強みを主張したりするだけでは不十分であり、それらをどのような視点で統合し、一つの意味を持たせるかが問われます。さらに、その提示の仕方自体も評価対象であり、「どう見せるか」まで含めて設計する必要があります。
また、この入試は自由度が高いように見えて、実際には暗黙の前提や形式が存在しています。そのため、それに無自覚に従うのではなく、その構造自体を理解し、必要であれば逸脱することが重要です。
言い換えれば、この入試は「何者かであること」よりも、「どのように自分を定義し、その構造をどう提示するか」が問われているのです。
入学してみて
入学前に感じていた通り、自由度の高い環境であり、自分の関心に応じて学びを組み立てることができると感じています。授業の選択や学び方にも幅があり、主体的に取り組むことの重要性を実感しています。
また、さまざまな分野に関心を持つ学生が多く、それぞれが自分のテーマを持って学んでいる点も印象的です。そうした環境の中で、自分の興味を深めながら学びを広げていけることに魅力を感じています。
全体として、自分の関心や問題意識を軸に学びを展開していける環境であると感じています。SFCを目指している皆さんが、それぞれの「問い」を携えてこのキャンパスに集まってきてくれることを楽しみにしています。







