慶應SFC小論文 過去問答案例・解説

慶應義塾大学 環境情報学部2022年 答案例・詳細解説

慶應SFCインテンシブコース

慶應義塾大学 環境情報学部2022年【問い】

 慶應義塾大学環境情報学部では併設される総合政策学部と共に、創設時より、社会の発展とともに複雑化するさまざまな問題に対応し、より良い社会を実現する「問題発見解決型人材の育成」を目標として掲げ、教育研究活動を行なってきました。社会が直面する重大な問題には予め定義された正解が存在しない場面が多くあります。それどころか何が問題かも定義されておらず、その問題を自ら発見、定義し、それを解決していくことが求められます。
 
 また、学生が既成概念にとらわれずに教職員とともに未来を創造する両学部の学生像を表現するキャッチフレーズとして「未来からの留学生」を掲げてきました。環境情報学部の入学生に対してはこの「未来からの留学生」としての資質が期待されています。
 

 以上をふまえ、以下の問いに答えてください。

問1

 さまざまな問題解決の取り組みにおいては、事前に十分なデータが入手できないことがあります。そのような場面では手に入る限られた情報から仮説を立て、おおよその数値を推定することが求められます。限られた情報から数値を推定する試みについて以下の問いに答えてください。

問1−1

2021年に日本国内で購入されたシャープペンシルの本数を推定しその数値を解答欄1−1に記入してください。

問1−2

問1−1で解凍した推定値を算出した根拠を解答欄1−2で説明してください。その際、なるべく分かりやすく読者が納得できるよう具体的な根拠を示してください。数式、図や表を使っても構いません。推定にあたっては受験生自身が持っている知識を用いることを前提としていますが、手がかりとして以下の参考データに示す数値を使用しても構いません。

問2

【注意】以下の記述は出題上の架空の設定です。大学および学部による実際の取り組みとなるとは限りません。また「問1」と「問2」は独立した問題であり関連づける必要はありません。

環境情報学部では2022年度より「未来からの留学生派遣制度」の導入を検討しています。「未来からの留学生派遣制度」では2022年度入学生の一部を2年前の2020年4月入学生として過去の時空間に派遣し2年間を過ごしていただきます。対象者は2022年4月1日時点の記憶を持った状態で2020年4月1日に向かいます。そこで皆さんが経験する出来事は皆さんの働きかけによって変化しうる(皆さんが知っている歴史を変えることができる)ものとします。なお過去に持ち物を持っていくことはできません。また、この2年間の間にさらに過去や未来に移動することはできません。
 環境情報学部ではこのような特別な機会を最大限有意義に活用し、よりよい世界を実現する意欲と力のある人に入学してもらいたいと考えています。特に他の人と異なる視点や創造的なアイデアなどを高く評価します。

以下を前提として以下の問いに答える形で活動計画を記述してください。なお時間移動に伴い発生する矛盾点(タイムパラドックス)等については各自で考えた設定を用いてください。

問2−1

 入学後この「未来からの留学生派遣制度」にあなたが参加し2020年4月にいくことができた場合に、この機会を活かして解決したい、あるいは解決できると考える問題について、分かりやすく印象的な名称を考え解答欄2−1に記述してください。

問2−2

 問2−1で記述した問題の解決について、過去に移動できる「未来からの留学生派遣制度」という特別な機会を通じて取り組むことの意義を200文字以内で解答欄2−2に記述してください。

問2−3

 問2−1で記述した問題を解決する方法の具体的なアイデアを解答欄2−3の枠内に記述してください。必要に応じて図や絵を用いてもかまいません。柔軟な発想や奇抜なアイデアを歓迎します。

問2−4

その問題解決の実現に向け2年間にどのような活動を行うのか具体的な手段を解答欄2−4に記述してください。解答欄の左端に時系列を示す直線が用意されていますので利用してください。図や絵を使用してもかまいません。創造性豊かな構想を期待しています。

慶應義塾大学 環境情報学部2022年【答案例】

問1−1

91763950本

問1−2

以下のモデルで予測を立て、資料のデータをもとに計算を行なった。

個人で購入されたものに関しては、資料の人口推計のデータ用いる。
それ以外のものに関しては、資料の学校基本調査と法人企業数に関するデータを用いた。
コロナ禍であることを考慮し、法人、小中高以外の学校に関しては購入本数の予測を抑えている。

問2−1

コロナに負けるな!高齢者のDX化による地域活性!

問2−2

この2年間コロナ禍において、さまざまなことが情報化し、情報の価値が大きくなった。しかし、情報化が進む中で高齢者が情報化に置いてかれてしまった。またそれに伴い、コロナ禍であることも影響して、高齢者が主体となっていた地域での交流が減ってしまったと考える。この2年間で高齢者の孤立や地域交流の減少を防ぐために、この現状を知っているからこそ、私は2020年で高齢者が情報化できるような取り組みをしたい。(194字)

問2−3

私は高齢者の情報化をすることで、地域交流を維持したいと考える。そのために、図のような仕組みを作る活動をしたい。講習や若者のサポートにより高齢者が電子機器の扱いに慣れ、それによってオンラインの活動人も高齢者が参加できるようになり、コロナ禍でも地域コミュニティでの活動を維持できると考える。従って、地域単位で図のような仕組みを広める活動を行いたい。

問2−4

慶應義塾大学 環境情報学部2022年【解説】

導入文

導入文で大事になってくるのは、4行目からの課題定義に関する部分でしょう。特に問2では問題の方で課題に関する定義がなされていないため、自分の問題意識の中から課題を定義していくことが重要になるでしょう。ただ闇雲にアイデアを書くのではなく、課題を見据えたものを解答にするようにしましょう。

問1

いわゆるフェルミ推定の問題です。外資系の企業の面接などでもよく使われます。問2の難易度が高いため、なるべく問1に時間を取られないようにしましょう。答案例では1の位まで計算を行なっていますが、時間短縮のためにある程度の値は切り捨てて計算を行うのが良いでしょう。問1−2に関しても、あまり複雑にしすぎる必要はありません。

問1−1に関しては、桁数が9桁から大きく外れていなければ問題ありません。(1000万〜10億の間)ちなみにコロナ禍でなければ1億5千万本ほどになるそうです。また、2021年の売り上げ本数は約9613万本だったそうです。

問1−2に関しては、推定に用いたモデルをわかりやすくかけていれば大丈夫です。モデルを作る際には、中高生の購入数が多い点、学校や企業ではまとめて購入しているところがある点、コロナ禍での予測である点などを考慮し、自分の経験などをもとにモデルを作るようにしましょう。資料のデータに購入本数の予測値を掛け合わせて合計する方法が最も予想が立てやすいでしょう。また、モデルは単純なものの方が予測の精度が上がりやすいです。あまり複雑にしすぎないようにしましょう。

問2−1

問2では導入文に熱通り、課題定義が重要になってきます。従って、問2−1が全体の鍵となってくるでしょう。課題定義に関して、いくつか注意しなくはならない点があります。まず、過去2年間はちょうどコロナウイルスの蔓延が始まってからの2年間である点です。コロナ禍での社会や環境の変化に注意しましょう。また、課題の規模感にも注意が必要です。個人的な利益にしかならないものや、SFC生の力だけでは到底どうにもならないものは避けましょう。さらに、ここでは過去に戻る意味も考慮する必要があります。問2−1で定義する課題は、過去に戻ることで、これからを改善できるような課題にしましょう。今を変えることが過去に戻る意義です。少し考えることが多いですが、問2では問2−1が特に重要になるので、以上のことを考慮して課題定義を行うようにしましょう。

問2−2

ここまで来ればあとは比較的スムーズにいくと思います。問2−2ではどのような問題意識に基づいて課題定義を行ったのかを書きましょう。未来から来た自分にしかできないことを考えると、意義に結びつけやすいと思います。

問2−3

課題解決のアイデアを書きましょう。なぜ、そのアイデアが有効なのか、アイデア実行の際にはどのようなことに注意する必要があるのか、どのようにして課題解決につながるのかを書きましょう。SFC頻出の図示問題です。なるべく文章は使わず、ぱっと見で内容がわかりやすい図を書くようにしましょう。ただし、それだけだと具体性がなくなってしまう場合は、図以外に文章を用いた説明書きも加えると良いでしょう。試験時間や過去に戻るという設定から、多少は現実味がなくとも独創性のあるアイデアをかけた方が良いと考えられます。具体化できるもので、問題の趣旨にあった規模感のものであることは前提ですが、その中でなるべく自分のアイデアを答案にするようにしましょう。

問2−4

課題解決の流れを、時系列を追って書くようにしましょう。ただし、解決の流れはあまり直線的なものでない方が良いでしょう。役割ごとや目的ごとに列を分けて書くと書きやすいと思います。また、問2−3と同様、一眼で分かりやすい図が評価されます。これらの点を考慮しながら解答を作るようにしましょう。

慶應義塾大学 環境情報学部2022年【講評】

コロナ化での社会や環境の変化に対する問題意識やアイデアの独創性が問われる問題でした。一見なんでも書けるように思えますが、問題文で設定される背景を考慮すると解答が絞られてくると思います。資料が少ない分受験生自身の持つ知識が問われており、人によってはかなり書きにくかったと思います。社会問題への意識や理解を深めておくようにしましょう。同じSFCの問題では、環境2021年、総合2021年、環境2015年などの対策が有効になります。これらも一緒に確認するようにしましょう。

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ABOUT ME
hiroken
2021年に慶應義塾大学の環境情報学部に入学したヒロケンです。教育やデータサイエンスに興味があります。受験では小論文の対策を中心に、SFCに特化した対策を行うことで、英数受験でSFC両学部に合格することができました。私が実践してきたSFC対策をぜひみなさんにお伝えしていきたいなと思います。

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