こんにちは、久保です!私は2021年に、慶應義塾大学の環境情報学部になんとか合格することができました。
ですが、私の受験勉強は順風満帆なものではなく、志望校を慶應SFCに決めた時期も、小論文の勉強を始めた時期も、秋からでした。
そんな状況でもSFCに合格できた要因は、小論文のトリセツが運営していた、小論文合格サロン(現 慶應SFCインテンシブコース)に参加できたことが大きかったです。
その小論文合格サロンで教わったことで一番役に立ち、SFC合格に導いてくれたもの、それがアウトラインです。
今回はそのアウトラインとは何かというところから、実際に自分でアウトラインを書けるようになるまでを体験してもらう記事となっています。
ぜひアウトラインの書き方をマスターして、SFC受験はもちろん小論文を使うすべての大学の入試で、他の受験生を圧倒するような力を身に着けてほしいです!
アウトラインとは?
この記事を見ている皆さんの中には、アウトラインとは何だろう?と思われている方がいるかもしれないので、軽くアウトラインとは何なのかについて説明しておきます。
アウトラインとは、一言でいうと
「原稿用紙に書く前に、これから書く小論文の概要をまとめたメモ」
シンプルですが、このくらいの認識で良いです。
下の画像が私が受験生のときに書いていたアウトラインです。今は「こんなことを書くんだなぁ」と軽く見ているだけで良いです。
複雑に見えるかもしれませんが、安心してください!
この記事を見終わるときには、このくらいのアウトラインの書き方が理解できるようになっています。
アウトラインのメリット
「アウトラインがどんなものかはわかった。でも、なぜそれを書かないといけないのか?」
また、「書かなくても自分は小論文をすぐ原稿用紙に書ける」という人もいるかもしれません。
ですが、私は断言します。
絶対にアウトラインを書いたほうがいい!
このことは自信を持って言えます。ではなぜこのように言えるのか。
この根拠となる、アウトラインを書くメリットをいくつか挙げてみようと思います。
メリット1:途中で話がねじれない
アウトラインと聞いてみなさんがまず思いつくことは、これではないでしょうか。
自分もこれが一番大きなメリットだと思います。なぜこれが一番大きなメリットだと考えるかというと、答案作成時にアウトラインが無いと、私はほぼ確実に話が途中でねじれてしまうからです。
私ではなくても、小論文を書いた経験がある方で、事前に何も考えずに書き始めた人、また少し頭の中で考えただけという人は、原稿を書いている途中で話がねじれてきてしまったという経験をされた方は多いでしょう。
なぜこうなるかというと、小論文を書いているときは、いま自分の書いている文に集中してしまっていて、文章全体の流れを考える余裕がないからです。
その結果、文章全体の流れがグチャグチャになり、途中で話がねじれてしまっていると言えます。
それを防ぐためには、答案作成の前に、アウトラインを書くことが肝要です。
アウトラインを書くときは、全体の流れを考えて書きます。
そのため、このアウトラインの流れに従っていれば、答案を書く途中で、いま自分が書いている文に集中していても全体の流れを見失うことなく書き進めることができます。
メリット2:問いに答えられるようになる
小論文を書くときに私が一番気をつけていること、それは「問いに答えられているか?」ということです。
問いに答えるなんて当たり前だ、と思われるでしょう。しかし、これが意外と出来ていない人が多いです。
出来ていない人とは、自分の蓄えてきた背景知識を披露しようとするあまり、問いにあまり関係のないことを多く書いてしまって、問いにまっすぐと答えられていない人などです。
これは初心者だけではなく、小論文の勉強をかなりやってきた人でもやりがちです。
このような小論文は致命的です。なぜなら、問いに回答出来ていない答案は、小論文試験の点数が極めて低くなることが避けられないからです。
小論文を採点する担当者は、なんとなくではなく、明確な採点基準を持って採点しているでしょう。そうでないと個人個人の主観によって受験生の合否が左右されてしまいますからね。
その採点基準にはどんなことが書かれているでしょうか?
細かいことは採点をする担当者しかわかりませんが、明確に言えることは、問いにどのように答えているかを採点しているということです。
例えば、
あなたの好きな食べ物はなんですか。その理由とともに答えなさい。
という質問に対して、どのような食べ物を答えるかは問題でははないでしょうが、
答え
私の好きな食べ物はバナナだ。バナナ(甘蕉、実芭蕉、英: Banana、学名 Musa spp.)は、バショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称である。また、その果実のこと。いくつかの原種から育種された多年性植物。熱帯~亜熱帯の地域で栽培されるトロピカルフルーツ。種によっては熟すまでは毒を持つものもある。(引用:ウィキペディア)
のように自分のウンチクを語りだしても、このようなことを語ることは採点基準にはないはずで、つまり0点です。
問にまっすぐ答えることの重要性を、理解してもらえたでしょうか。
このような状況になることをアウトラインは防いでくれます。詳しいアウトラインの書き方については後述しますが、アウトラインは試験時間の制限上、少ない文字数で書くことが求められますので、問いに一言で答えることになるでしょう。
上の例では、
好きな食べ物→バナナ
理由→甘くて美味しいから
のようになります。このように書いていれば、問にまっすぐ答えることができ、上に書いたような状況を防げます。
メリット3:字数の見当がつけられる
小論文試験では、「800文字以内で述べなさい」のように決められた字数で書かなければなりません。
何も考えずに書き始めてしまうと、途中でこのままでは字数が足りない、または字数が多すぎるのようになりかねません。皆さんも小学校で作文を書くときにこのような経験をしたことはないでしょうか?
このような事態になることも、アウトラインが防いでくれます。
私がよくやっていたことは、アウトラインの段階でこの小論文では何文くらい書くか見当をつけ、自分は1つの文が、約○○字くらいだから、この小論文は最終的に〇〇〇字になるなと予想するというものです。これについては後でもう少し詳しく書きます。
みなさんもアウトラインを書いてぜひやってみて下さい。
メリット4:過去問演習の時間を大幅に短縮できる
これが最後です。私は、kazさんの小論文合格サロン(現 慶應SFCインテンシブコース)に入ったばかりのとき、
過去問演習で原稿に文章を実際に書くのではなく、時間短縮のためアウトラインだけ書いてみよう
と言われ、実際にこの方法で総合政策学部の過去問5年分を解きました。
今思えば、このアドバイスは実に的確なものだったと思います。
私は秋頃から小論文対策を始めたので、SFCの入試まで時間がありませんでした。
本当は原稿を最初から最後まで書くのが一番でしょうが、時間は有限です。このような場面では、アウトラインだけを書くという過去問演習は有効だと思います。
また、アウトラインを書けば、小論文の出来の九割は決まると私は考えています。全体の流れがアウトラインから決まり、原稿の段階では個別の文を書くだけと考えたら当然ですね。
つまり、このことからもアウトラインだけを書けば過去問演習の目標の大部分は達成できるとわかります。
以上の4つが私の考えるアウトラインのメリットです。本当はもっとありますが、このくらいにしておきます笑
みなさんもアウトラインを書くメリットを理解し、アウトラインを書こうと思ってもらえたのではないでしょうか。
では次から実際にアウトラインを書くための知識を伝えていきますね。
アウトライン作成の基礎
いよいよアウトラインを書くためのことを教えていきます。
まず、私は小論文を2つのタイプに分けてます。
1つ目が、1つの問に対して、長い文字数で自分の主張を述べるというタイプです。
そのタイプの小論文に対するアウトラインの作成方法は、「小論文短期集中講座③ これだけ!小論文で合格点を獲得するための最短プログラム」で非常に詳しく解説されているので、それを参考にしてください。
読みましたか?もう読んだという方は、次に進んでください。
上の記事で解説されていたタイプとは違う小論文のタイプは、1つの問に対して段落の意味付けを行うほどの文字数がないタイプです。
例えば、制限文字数が400字のような比較的短い問題。また、文字数が800字や1000字のように段落の意味付けを行えるほど長い問題でも、1つの問題の中に複数の答えなければならない問題が含まれている問題です。
複数の答えなければならない問題とは、次のようなものです。
なぜその4つの研究会を履修しますか。また、4つの研究会をどのように履修し、あなたの目標を達成しますか。それがどのように課題解決・新発見につながるのか800字程度で説明しなさい。
(慶應義塾大学環境情報学部2017年問3)
これは実際のSFCの入試問題です。ここで注目してほしいのが、同じ問3という中にもいくつかの問題が含まれていて、分解できるということです。
慶應SFCでは、このタイプの問いが頻出されます。
このような場合を、もうひとつのタイプとします。
これからは、このもうひとつのタイプでのアウトラインの書き方について詳しく解説していきます。
【実践編】アウトラインの考え方を理解しよう
せっかくなので、例題を通してアウトラインの考え方を理解していきましょう!
あなたが2016年4月に総合政策学部に入学したとすれば、2020 年頃に卒業することになるでしょう。2020年に、日本の「格差」はどうなっていると予想しますか。特に①国際比較、②職業の世代間移動、③高齢化という3つの視点で見たときの変化をすべて予想して下さい。そして、あなたの予想をより説得的なものにするために、あなたが総合政策学部に入学後、どのような調査や分析が必要になるかということもあわせて、600字以内で記述しなさい。
(慶應義塾大学総合政策学部2016年問3)
今回はこの過去問を使います。この過去問についている資料は、過去問の参考書などで確認してくださいね。(一応なくてもわかるように解説していきます)
私はアウトラインの書き方を4つのステップに分けます。
ステップ1:問いを分解する
まず、
ステップ1:問いを分解する
上記で書いたように、この問題には複数の問いが含まれています。
皆さんはいくつの問題が含まれていると思いますか?もし余裕があれば、お手元に紙を用意して、自分で手を動かして箇条書してみてください。
・
・
答えを発表します。
1つ目→3つの視点で見たときの変化をすべて予想して下さい。
2つ目→どのような調査や分析が必要になるか
(「2020年に、日本の「格差」はどうなっていると予想しますか。特に」という部分の解釈は難しいところです。この部分も問いだと考えて、日本の格差はどうなってるかの概要を記述するのもありだと思います。)
予想通りでしたか?
とりあえず、この2つの問について回答する必要があることがわかります。以上で、「問いを分解する」のステップは終了です。
ステップ2:1つ目の問に対する自分の主張を書く
まずは自分の意見を一番最初に持ってきましょう。そのほうが読んでいる人にとってわかりやすい文章になると思います。
今回の場合では、「3つの視点で見たときの変化をすべて予想して下さい。」が問いなので、それに対する主張を書きます。
アウトラインなので簡潔に、(できれば単語レベルで)書くことを意識してください。
私が書いた例は、下のような感じです。
理解できましたか?
では、次のステップに進みましょう。
ステップ3:理由や根拠・論拠を使って主張を補強する
ここは少し話が複雑なので、注意して聞いてくださいね。
先ほど、ステップ2で自分の主張を書きましたね。ですが、このまま主張を書いただけではもちろん字数も埋まりませんし、説得力もありませんよね。
この主張に説得力を持たせて、小論文らしくしてくれるのが、理由や根拠・論拠です。
まず理由は「なぜなら〜だからだ」「〜なためだ」などで表されるもので、みなさんも分かりますよね。
根拠・論拠は、小論文短期集中講座③に詳しく書かれていたので、それを引用します。
・客観的な数字
・有識者の意見
・個別具体的な事例
・普遍的、社会通念的に妥当だと思われる前提
こんな感じです。これらのことを使いながら、主張に説得力を持たせていきます。
私はまず理由を書いて、その次に根拠・論拠という順番で書いていました。
ここで注意してほしいのが、必ずしも「理由」→「根拠・論拠」という順番にしなければならないというわけではないということです。
毎回このような順番にしてしまうと、文章がとても単調になってしまいます。
それを防ぐためには、主張以外の部分を適宜削ってみるということが有効です。そうすることで比較的自由度が高い文章を型を使って書くことができるようになります。
例えば、「主張」と「理由」は書くが、「論拠・根拠」は除いてみるとかです。
余談ですが、上に書いて文章の型はほとんど我流です。もちろん自分なりの文章の構造があってもいいと思いますし、いちいちこれが主張で、これが理由で、これが〜のように文章の型にはめるだけの小論文は少し面白みにかけると思います。
後々あなたなりの型を見つけてみてもいいですし、自分は型が不要で、その時々考えてもいいという人はそれでもいいと思います。
ですが、とりあえず説得力のある小論文を書くために、この型を真似してみてはどうでしょうか。私もこれを使って一応SFCの受験は突破しているので、ぜひ試してみてください!
ステップ4:他の問いで、ステップ2とステップ3を繰り返す
上の例でいうと、まだ「3つの視点で見たときの変化をすべて予想して下さい。」という問いの他にも「どのような調査や分析が必要になるか」という問いがありましたね。
この問いでも、ステップ2とステップ3を繰り返してください。
そして、完成形は下のようになります。これはあくまで私の例なので、全く違うことを書いていてもOKです。
復習の意味も込めて、この問題のアウトラインを自分で手を動かして書いてみることをおすすめします。
私はこのステップ1〜4でアウトラインを書いていました。この章の最後に、それぞれのステップをまとめておきますね。参考にしてください。
ステップ1:問いを分解する
ステップ2:1つ目の問に対する自分の主張を書く
ステップ3:理由や根拠・論拠を使って主張を補強する
ステップ4:他の問いで、ステップ2とステップ3を繰り返す
アウトライン作成時の注意点
これが最後の章です。
ここでは、アウトラインを書く上での注意点を2つ書きます。あと少しなので、頑張ってください。
注意点1:アウトラインを書く時点で字数に気をつける
アウトラインを書くことのメリット3でもお話しましたが、アウトラインの段階である程度の字数の目安がつけられるととても便利です。
字数の目安がつけられることで、字数が足りない、あるいは多すぎるのような問題を防ぐことができます。
今回はこの具体的な方法をお話します。
まず、みなさんが以前書いた小論文の原稿用紙を何でもいいので机の上に出してきましょう。
出してきましたか?
それでは次に、自分の書いた小論文が何字あるか数えてみてください。
また、小論文は何文で構成されているのかを調べてみましょう。
そして最後に「自分の書いた小論文の文字数」➗「文の数」をしてみてください。
それがあなたの1文の文字数の平均です。
よく覚えておいてくださいね。
例として、例えば私が800字の小論文を書き、それが16文で構成されているのなら、一文の文字数の平均は50字です。
では次にあなたのアウトラインで何文程度、原稿用紙に書くか見当をつけてみてください。これはあまり難しいことではないと思います。
例えば、主張で1文、理由で1文、根拠のところで2文は必要だなといった感じです。
そして、その自分が必要だと思った「文の数」✖「自分の1文の文字数の平均」をしてみてください。
これであなたが書くであろう大体の文字数は分かります。
私はこの方法で、文字数が余り過ぎる、または多すぎるということにはあまりなりませんでした。
もちろん「自分の1文の文字数の平均」は過去問を解いていくうちにやっぱり違ったとなることもあるかもしれないので、その時はその都度修正して下さい。
注意点2:アウトラインは単語レベルで書く
アウトラインは単語レベルで書けたらベストです。
当然のことながら、入試本番の小論文試験を解いているときは、時間に余裕がありません。特にSFCの入試問題はとても長い資料文を読まないといけないこともあり、急がなければなりません。
もちろんアウトラインを書く時間も短縮していくべきです。時間を短縮するには、長々と書くのではなく、言いたいことを単語レベルで書くということが有効です。
はじめのうちは長々と書いてもいいですが、慣れてくれば単語レベルでアウトラインを書いてみましょう。
終わりに
以上で、この記事は終了です。
アウトラインについての基本的な考え方が身につきましたか?
身についていれば良いですが、まだ曖昧なところがあるという人はぜひもう何度も読み返してみてください。
私も受験生の頃、教材の意味があまり良くわからないということがよくあり、そのときは必ず分かるまで読み返していました。
みなさんが第一志望に合格できることを心から祈っています。また、慶應SFCを受験される皆さんとは、来年キャンパスで会えることを楽しみにしています。