小論文のノウハウ

近代の知 – 近代的主体と実存の対比構造を理解しよう【小論文読解講座#2】

小論文読解講座

小論文読解講座こんにちは!慶應義塾大学総合政策学部2019年度入学のHiroです!

初回の小論文読解講座では、「どのようにして近代という時代を理解すれば良いのか?」という概要をお伝えしました。

様々な近代特有の考え方として、個人主義、要素還元主義、機械論的自然観など、様々な思考の枠組みがありますが、それらの根底には共通した人間に対する考え方があります。今回は、その人間に対する考え方を理解するために必要な、人間の内部のあり方について話していきたいと思います。

冒頭でもうすでに何を言っているのか分からないという人もいると思いますが、丁寧に一つ一つお伝えしていくので、頑張ってついてきてください。何度も復習してモノにしてください。これから先の道は長いですが、丁寧に時間をかけて習得すれば、確実に小論文入試において合格答案を完成させることができます

そしてこれらの知識は、「あれば有利に戦える」というようなものではなく、「無いとスタートラインに立てないもの」という認識を持って、学習を進めていってほしいと思います。

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「近代の思考」の本質を学ぼう

現在、我々が直面している様々な問題は、ひとえに「近代の考え方」によって引き起こされたものと言って過言ではありません。よって、小論文の課題文が“現代の問題”を取り扱うという特性上、近代の思考様式、考え方についても深く理解しておく必要があるのです。

その近代特有の考え方というのは、しばしば〇〇主義という名で呼ばれますが、その〇〇主義に関する記述だけを読んでも、おそらくその考え方について深く理解できないことでしょう。

それは、その考え方の根底には、当時主流であった、現代とは異なった人間に対する考え方というものが存在するからです。〇〇主義に関する記述の表面的な部分だけをなぞっても、その考え方の本質を理解することはできないのです。

そのため、表面にある近代特有の考え方というものを学ぶ前に、その裏にある前提となる考え方、背景知識について学習しなくてはならないのです。前提が理解できていないと、断片的な理解しかできず、“使える知識”にはなりません。逆に前提を正しく理解すれば、表面の〇〇主義は簡単に理解することができます。

表面的には近代の考え方というのは数多くあるように思えますが、実際は、本質的に言っていることはほとんど同じであることが多いのです。そのため、前提となる本質の部分を抑えることに、最も注力すべきなのです。

したがって、本サイト「小論文のトリセツ」においても、表面的な〇〇主義を扱う前に、前提となる考え方について扱っていきます。

デカルトの二元論 – 近代的主体と実存の対比

それではまず、数多くある近代特有の考え方の根底にある、人間に対する考え方について話していこうと思います。これは近代哲学の話ではなく、大学入試小論文に必要な教養の話なので、細かい背景などは割愛します。

「デカルトの二元論」を聞いたことがありますか?近代の考え方の根底には、この「二元論」の考え方が存在します。この二元論を出発点とした人間に対する考え方が、多くの考え方の根底にあると言って良いでしょう。

その人間のあり方は、「近代的主体」と呼ばれるものです。そして現代においてはその近代的主体の考え方が機械的であると否定され、もっと人間らしい在り方であるべきだ、という主張がなされています。そのもっと人間らしい在り方は、「実存」と呼ばれるものです。

ほとんどの場合において、この「近代的主体と実存の対比」というのが、小論文の課題文で論理の骨組みになっているのです。

この近代的主体と実存について理解するためには、人間の内部にある「ロゴス」と「パトス」について理解する必要があります

ロゴスとは人間の理性的な部分を指し、パトスとは人間の感性的・感情的な部分を指します。

「二元論」の考え方は、この人間の中にある「ロゴス」と「パトス」という二つの側面を分けて考えるものなのです。そして近代的主体というのは、このロゴスだけを持つものと考えられ、パトスの側面を持たないものと考えられていきました。すなわち、人間は理性によってのみ、行動すると考えられたのでした。

一方で、実存は“現実存在”の省略形であり、ロゴスとパトスの両方の側面を持つのが人間である、という現実的な考え方なのです。

ロゴスとパトスの分離(小論文読解講座)

ちょっと立ち止まって考えてみれば、「人間は感性的・感情的な側面を持たず、理性だけを持つ」というのは不自然な話ですよね?にわかには信じられないとさえ思えますが、近代においてはこの考え方の正当性が本当に信じられており、多くの考え方がこの近代的主体という人間のあり方に支えられたのでした。

現在もその名残があり、組織の考え方や学校教育の考え方は、この近代的主体の人間を前提としているので、問題が起こるのは当然なのです。

そのため、受験小論文の課題文で扱われている内容は、「近代的主体を前提とするのではなく、実存の人間を前提としてルールを考えるべき」という主張が大半であり、その具体的な側面として、法律・組織・学校教育といったものがテーマとなっているのです。

これらを踏まえて、小論文読解講座の方針としては、まず「ロゴス」と「パトス」について詳しく理解し、その後で、「近代的主体(ロゴス)」と「実存(ロゴス+パトス)」の対比を理解した後で、近代の〇〇主義を“近代的主体”という前提のもとで理解していくことにしましょう。

そして、最後に「いかにしてこれらの背景知識を“小論文の答案”に落とし込んでゆくか?」について、お伝えしていきます。

まとめ

今回は、近代の考え方の根底に「近代的主体」と「実存」というものがあるという話でした。

大まかに概要だけを話したのでまだいまいちピンとこないかもしれませんが、自分なりにノートにまとめたり、読み直してみたりして、大まかにこれから何を勉強するのかということを想像できるようにしておいてください。

徐々に内容が難しくなっていくので、一つ一つ丁寧に確実に抑えていってほしいと思います。

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次回は「ロゴスとパトスの性質」について、お話したいと思います!

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ABOUT ME
Hiro
慶應義塾大学総合政策学部1年。1年間の浪人を経て、英語・小論文受験で合格しました。通っている学部はSFCですが、本キャンの受験経験があるので、本キャンの小論文の解答解説をメインで書いてます!

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