こんにちは。慶應義塾大学総合政策学部2019年度入学のHiroです。
今回は、第3回小論文読解講座でお話しした、“ロゴス”と“パトス”がどのように働くのかを、より具体的に話していきたいと思います。
前回同様、理解するのがかなり難しい内容だと思います。前回もお伝えしましたが、完全に理解するのには時間がかかると思いますので、焦らずじっくりと時間をかけて理解していって欲しいと思います。
しかし、一度理解してしまえばかなり多くのことをロゴスとパトスに抽象化でき、いざ小論文の課題文や現代文を読むことになった時に、とても楽に整理できるようになります。僕は受験生の時、このロゴスとパトスを基盤とした“近代性”について徹底的に理解したので、直前期の過去問演習や入試本番において多くの小論文や現代文に触れましたが、それらすべてが同じに見えました。
根本的に言いたいことは、どの文章もほとんど同じだということです。後になってからラクをするために、いまはキツいことに耐えて欲しいと思います。
この記事の目次
ロゴスとパトスの作用
ロゴスの作用=間接的、パトスの作用=直接的
ロゴスは“間接的”に働き、パトスは“直接的”に働きます。そして、ロゴスが論理的であり、パトスが直感的であるということを前回学んだかと思います。
ロゴスはその論理の中で、言語・数値・法則・規範などを通して物事を考えているのであるため、間接的な物事の理解だということができます。例えば、「富士山は3776mである」というロゴスの理解は、数値というものを通して理解しているので間接的だと言えます。
一方パトスは、直感的に物事を理解するのでしたね。それは、論理・言語・数値といったものを通さずにありのまま理解するのであり、直接的な理解ということが言えます。
ロゴスの作用=能動的、パトスの作用=受動的
ロゴスは“能動的”に働き、パトスは“受動的”に働きます。
ロゴスは意識的、パトスは無意識的でした。ロゴスで物事を理解する時は、意識的に言語や数値を通して間接的に理解するので、この働きは意思の力に支えられているという意味で、“能動的”だということが言えます。
一方パトスは、無意識的に働くものであり、自己の理性を通さずに物事に直接触れて理解するため、それは受動的だと言えます。ロゴスが頭で“考える”のに対して、パトスは体で“感じる”という表現がふさわしいですね。
ロゴスの作用=一義的、パトスの作用=多義的
ロゴスは“一義的”な理解、パトスは“多義的”な理解をします。
ロゴスは、言語や数値を通して間接的に論理的に物事を理解し、そのプロセスは能動的なあり方である、という話を今までしてきました。そしてこのロゴスのあり方に関して、小論文入試においては否定的に扱われることが多いのです。
では、ロゴスの何が問題なのでしょうか?それは、ロゴスで物事を理解する時、数値などの指標を基準にして物事を見ることになり、その数値以外の側面は考慮されないため、理解が限定的で一義的なものになるということです。数値が“色眼鏡”になり、本質が理解できていないのである。
一方パトスは、数値などを通さず直接的に物事を考えるので、指標を持っていない分、色々な側面を“感じる”ことができ、それは多義的な理解ということができます。理性で考えても分からなかった側面を、感性によって感じることができるという意味で、「理性の限定を超える」と表現することもできます。
まとめ
今回は以上になります。
まだいまいち実態がつかめないことだと思います。それは当然のことなので安心してください。これほどまでに抽象度の高い話をそのまま理解できるはずがありません。
しかし、今はとにかく断片的な知識として、頭に詰め込んでください。実態はぼんやりしていて良いのです。知識をある程度つけてから実際に課題文を読み始めてみれば、だんだんと分かってくるはずです。
ですが、実態は分からなくても用語はインプットしきってください。用語がわかってないと、実際に文章を読み始めて解説を読んだとしても、その解説の意味が分からなくなります。いまいち分からないという状態でも良いので、何度も復習してください。ノートにまとめて、音読を何度も繰り返せば、意味は完全に分からなくても断片的な知識は頭に入ります。
僕も受験生の時は苦労しました。しかし、飽きるくらいに復習して、しつこくやれば必ず使いこなせるようになります。「近代性に関する教養」を最短ルートで学習していくわけですから、登るべき階段はとても急だと思います。何事においても最初の“離陸”が一番キツいものです。しかし、一度離陸してしまえばあとはラクなものです。後からラクをするために今は頑張ってくださいね。
次回は、「ロゴスとパトスのまとめ」をお話します。