慶應SFC小論文 過去問答案例・解説

慶應義塾大学 環境情報学部2017年 答案例・詳細解説

慶應SFCインテンシブコース

慶應義塾大学 環境情報学部2017年【問い】

 慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部(以下SFC)で学ぶということは、既存の学問分野にこだわらず、異分野とされているものを組み合わせて、全く新しい学問を生み出す可能性があるということです。あなたは自由に科目や研究会を組み合わせって履修することができます。
 SFCの学生に求められるのは、自分の関心を中心に他の分野を結びつけ、世界の課 題を解決したり、新たな分野を切り開く能力です。研究会は、SFCの学びの中心で す。一般的な大学の研究室やゼミに近いものですが、研究会の教員が教えることが学生の専門になるのではなく、学生が自由に研究会を組み合わせて自分の道を切り開いきていくのが、望ましい研究会の履修方法です。
 このようなSFCの研究会のあり方を理解した上で、以下の4つの設問に答えなさい。

設問1

あなたが環境情報学部に入学してから、解決を試みようとする課題、あるいは発見しようとしていることについて、200字程度で説明しなさい。

設問2

あなたはいくつかの研究会の専門性を組み合わせ、課題解決、新発見に取り組む 「こととします。4ページ以降に、10の研究会の内容がそれぞれ紹介されています。 これらのうち、4つの研究会を選んで履修してください。履修する研究会名を答えな さい。なお、必ず4つ選ぶこととします。

設問3

なぜその4つの研究会を履修しますか。また、4つの研究会をどのように履修し、あなたの目標を達成しますか。それがどのように課題解決・新発見につながるのか800字程度で説明しなさい。

設問4

3で答えた内容を模式図に表しなさい。枠線内はどのように使っても構いません。文字を使って説明しても結構ですが、必ず図も使いなさい。

慶應義塾大学 環境情報学部2017年【答案例】

設問1

私は環境情報学部に入学してから、インターネットサービスにおける金銭トラブルに関する問題の解決に取り組みたい。

近年、通信技術の発達に伴ってそれを活かしたサービスが多く登場した。中でも、「フリマアプリ」の台頭も見られた。その利便性ゆえ多くの利用者が存在するが、同時にユーザー間のトラブルも多く見られる。私はこの課題の解決に取り組みたい。

設問2

新保史生研究会

今井むつみ研究会

中浜優子研究会

中西泰人研究会

設問3

私は、インターネット(以下ネット)サービスにおける金銭トラブルを「ネットでの取引の際、ユーザー間でコミュニケーションの不和が起こり、それに伴って契約破棄などが生じること」と定義するが、その定義をより詳しく形式化されたものとして示すためにまずは新保史生研究会を履修し、そこで情報法について学ぶ。特に先述したようにネットでの金銭とトラブルの前例や、それに関わる既存の法律があればそれらに注目し、どこから「トラブルが起きている」と判断するのかという基準を明確にする。それによって、解決すべき問題の限定が可能になる。

また、私はこのようなトラブルの原因は、「ネット特有の顔が見えない状況で起こるコミュニケーションの不和」と考えている。そのため、次はそれに対してアプローチをするために、顔が見えない状況においてどうすればスムーズなコミュニケーションが行えるのか、またその時に使用する言葉には何があるのかを学びたい。そこで私は今井むつみ研究会を履修し、文字だけのコミュニケーションで人は何を送られると不快になるのかという認知について注目しながら学ぶ。

次に、「ネットにおけるコミュニケーションの不和」は言語の壁によっても引き起こされると私は考える。そのため、異言語、異文化間でのコミュニケーション不和回避の方法、言葉を学ぶために中浜優子研究会を履修する。そこで過去に学習者が言語(ここでは第二言語とする)を習得し、その言語の話者とのスムーズな会話が可能になった前例について学び、その過程において使用された表現などを知る。これにより、今井むつみ研究会と合わせて、国籍を問わない、ネット上でのスムーズな会話の実現が可能になる。最後に、今井むつみ研究会、中浜優子研究会で学んだ「スムーズな会話に使われた言葉」を活かすため、中西泰人研究会で「向こう側」にいる人たちを意識した使いやすいサービス(主に商品取引を行うもの)開発の技術を学ぶ。アプリでは取引の際、今井むつみ研究会、中浜優子研究会で学んだものを定型文としたものだけを使えるようにする。これに加えて、双方が快適に操作できるようなシステムを学び、アプリに取り入れることで、ネット上での金銭トラブルを減らすことができる。しかし、先述のような定型文のみによるコミュニケーションとなると、いくらそれが円滑なそれに効果的だとしても、自由記述と比べると自由度は下がってしまう。その点においては、アプリに「ヘルプ機能」を付け、意思疎通がうまくいかない際はアプリ運営側の人間がお互いの意見を代わりに伝えて対話を取り持つことで、これを補う。

設問4

模式図

慶應義塾大学 環境情報学部2017年【解説】

多くの受験生が抱いているであろう「SFCっぽい」要素がふんだんに盛り込まれた問題です。それだけにこの問題は解きやすい上に、「SFC小論文とはどのような問題が出題されるのか」ということを肌で知るには最適なものだと思います。しかし、最後にある「模式図で表しなさい」といった問題は、訓練がされていないと書きづらいor的外れな答案になってしまうのが難しいところです。とはいえ、配点の比率で考えれば、問題3が一番大きいのは確実なので、模式図のような目新しい問題に気を取られすぎないように、いつも通りの方法で問題を処理していきましょう。

まず、今回は設問文と比べて序文が長めです。こちらに注意を払って読んでいきます。

気になる、また注意しなければならないであろう部分を抜き出すと、

「既存の学問分野にこだわらず、異分野とされているものを組み合わせて」

「あなたは自由に科目や研究会を組み合わせて履修することができます」

「SFCの学生に求められるのは、自分の関心を中心に他の分野を結びつけ、世界の課題を解決したり、新たな分野を切り開く能力です。」

「学生が自由に研究会を組み合わせて自分の道を切り開いていくのが、望ましい研究会の履修方法です。」

「このようなSFCの研究会のあり方を理解した上で、以下の4つの設問に答えなさい」

となります。

基本的にどの大学の問題でもそうですが、教授(問題作成者)は無駄な文を問題用紙に置きません。つまり、取捨選択の必要はあれど、出された文(問い)は読んでおくほうが有利だということです。必ず熟読するようにしましょう。特にSFC小論文は、問題が特殊であるためにそちらにばかり気を取られてしまい、実は重要な「問い」を読み飛ばして問題に取り組む受験生が非常に多いです。私も学習初期にはよくやってしまっていました。

ですが、上のようにこの問いを読解するだけでもかなりの情報を抜き出すことが可能です。今回は少しAO入試寄りの問題、つまりはSFCに入学したら何がしたいのか?という明確なビジョンがあるとかなりスムーズに手を動かせるものでしたが、特段ビジョンが無い受験生でもこのように素直に序文、資料文、設問文を読み込むことで、ある程度の方向性は定めることができます。

とはいえ、全く知識も素養もないという状況でこれに当たるのは少し厳しい戦いとなってしまうので、SFCの志望順位が高ければ高いほど「自分はSFCに入って何を勉強したいんだろう」という具体的なことを紙に書き出して整理するなどして頭を整えておくことをおすすめします

問題1についてはこれと言った発想法などは存在しません。自分がやりたいことが決まっているのならそれを書く、決まっていないのならその場で少し悩んだ上で書く。ただ、ここで気を付けてほしいのは「問題1は問題2,3、4へと地続き」だということです。もちろんここで良いものが浮かぶならそれで問題は何もないのですが、少しでも先のビジョンが見えないと感じたなら、まずは「何をするか」に焦点を当てて思考するのが良いです。つまり問題3のように大きいものへのアイデアを出してしまい、そこから問題1の答えを抜き出すというように、逆算して考え、全体として一貫性のある回答を作成するということです。問題2に関しても、自分の持っているアイデアがあるのであればそれに引きずり込めるような研究テーマの研究会を探す。無いなら、読みながら思考するのもあり。私の場合、この答案はSFCに入ってやりたいことがまだ無い時に解いていたものなので、その場で資料文を読みながら考えて出しました。

「SFCっぽい問題」というのは良くも悪くも発想勝負というイメージを持たれがち、敬遠されがちなものですが、自分がSFCに入りたい理由を整理する、はたまた過去問を丁寧に何年も重ねていって思考をブラッシュアップさせる、といった努力で十分戦える力はつくと、私は考えています。

最後に模式図についてです。普段から模式図を書き慣れている受験生はおそらく少ないので、ここに関しては自信を持って書けたという人はなかなかいないと思います。本番なら尚更です。

まず前提ですが、模式図は「文章が出来てから書く」ことをおすすめします。問題の大小関係以前に、多くの人が「詳細が書かれた文章を模式図にする」方が得意かと思います。模式図から書き始めた後に、あの文字数を使って文章にするのはかなり厳しいと思います。一方で、文章を書き始める前に、模式図の簡単な下書き(ラフ案)くらいは作っておいた方が良いでしょう。模式図が文章の骨格となり、文章と模式図の一貫性をブラさないことに役立つからです。

模式図の書き方ですが、基本は「模式図に登場する要素の相互関係を意識する」ことです。例えば自分の例では中浜優子研究会で学んだことと今井むつみ研究会で学んだことの交差が研究を次の次元へと動かします。

模式図の書き方は人によって色々なので、今後さらに良い模式図の書き方を見つけることが出来たなら、そちらを使っていくと良いと思います。ただ、あくまで基本は外さないようにするのがおすすめです。

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