小論文のノウハウ

近代の知 – 過去問演習1【小論文読解講座 #11】

小論文読解講座11

こんにちは。慶應義塾大学総合政策学部2019年度入学のHiroです。

今回は、初の過去問演習の話をしていきたいと思います。

慶應SFCインテンシブコース

はじめに

いままで散々インプットの話をしてきました。ですが、今回は初のアウトプットの回となります。

実際に過去問をやるのが初めての方もいらっしゃると思います。そういう方は特に緊張すると思います。自分が受ける学部であればなおさら緊張すると思います。

ただ、だからと言ってやらないのは完全に負けパターンです。過去問をやるのが怖いというのは、受験生なら誰もが経験することなのです。今回の過去問演習に関しては、あまり過去問演習という感覚を持って欲しくないです。

今回の過去問演習は、あくまでも合否を判定する目的ではなく、実力をつけるためのものです。なので、特に時間も計らなくていいです。「今まで学んだ近代の知識をどのように使うか」ということを第一に考えてほしいと思います。

おそらく時間内には終わらないと思います。何を書いて良いかわからないと思います。それは当然のことです。この過去問演習に関しては、ご自身の回答を作らなくてもいいです。というのも、大した答案が書けず、答案作成に時間をかけても大きなメリットはないと思っているからです。とにかく読解にこだわってほしいと思います。

今回扱う過去問は、『2017年度 慶應義塾大学経済学部』です。

過去問に取り組むにあたっての注意点

注意すべき点は3点あります。

①とにかく読解にこだわる。答案は書かなくて良い。

②飛ばし読みをしない。じっくり丁寧に読む。内容の本質にこだわる。

③今まで学んだ知識と結びつけて考える。

以下、説明していきます。

①とにかく読解にこだわる。答案は書かなくて良い

まず①について。冒頭でも少しお話ししましたが、この過去問は「正しい読解」のために行ってください。書きの練習は最後の最後でいいんです。

そもそも大学入試の小論文は、内容が本当に理解できれば、書くべきことは自ずとわかるものです。何を書いていいかわからないのは、内容が理解できていないから分からないのです。書くべきことがすぐに思いつかないうちは、課題文の内容が分かっていない状態です。つまり、それは「書きの練習」のフェーズに移るべきではないのです。

個人的には、書きの練習は直前期から始めるくらいでちょうどいいと思います。実際に僕が書きの練習を始めたのは年が明けてからです。ぼくはセンター利用を使わなかったので、人より時間に余裕があったというのもあるかもしれませんが、少なくとも小論文の学習を始めて間もないうちに書きの練習をするのは得策ではないように思えます。

いつ頃から始めるにせよ、書きの練習は最後にやるものなので、まだ読解のスキルが身についていない今の段階では書きの練習はしなくていいです。“書き”がちらつくと読解が甘くなる可能性があるので、最初から「書かない!」と決めてから取り組むのも良いでしょう。

②飛ばし読みをしない。じっくり丁寧に読む。内容の本質にこだわる

次に②について。とにかくじっくりと読んでほしいです。時間は気にしなくていいので、正確に読むことを心がけてください。「分からない」と思ったらその都度立ち止まってください。何を言っているのか本質を考えてみてください。

速読なんてものは必要ないです。ゆっくり、丁寧に読んでほしいです。2017年度の慶応経済の問題ははっきり言って難しいです。そんじょそこらの受験生は太刀打ちできないと思います。それだけ課題文の内容が難しいです。なので、難しいと思っても諦めずに読み続けてほしいです。最後まで丁寧に読んでください。

一度内容がわからなくなり、わからないまま読み進めようとすると、飛ばし読みになりがちです。ちなみに僕も最初はそうでした。しかし、時間をかけて考えてみると理解できる内容もかなりあります。すくなくとも知識の面では、今までやってきた内容で十分カバーできると思います。

なので、あとは皆さんがいかに本文の内容と今までの知識を結びつけるかということになります。課題文を読むときは毎回、「この内容はなんの話をしているのかな。今までやった知識と共通点はないかな?」と考えながら読んでほしいです。

“目を通す”と“読む”は違います。見るだけなら誰でもできます。読むから差がつくのです。その意識を持って、焦らずに丁寧に取り組んでください。少なくとも、今までやってきたことが頭に入っていれば、ぼろ負けはしないはずです。

③今まで学んだ知識と結びつけて考える

最後に③について。②の説明で少し話してしまいましたが、今まで積み重ねてきた知識と結びつけながら読み進めてほしいです。前にもお伝えしましたが、直接的に「近代的主体」や「実存」という言葉が出てくるわけではありません。そのため、課題文の内容の本質を捉え、自身の知識と結びつけることが必要です。最初はあまりに表現が違いすぎて、結びつけることが難しいと思います。

なので、スタンスとしては“ほぼこじつけ”くらいの勢いで取り込むことをお勧めします。「これなんか近代的主体っぽいけど、本当にいいのかな」と言ったことが頭によぎると思います。そういう時も、エビデンスが取れたなら思い切って「近代的主体だ!」と思って、先に進んでください。

今回の2017年度慶応経済の課題文は、完全に初見というものはあまりないと思います。別の表現で書かれた課題文の内容の本質を掴み、抽象化し、いかに自己解釈できるかがカギとなります。

具体的な内容における注意点

2017年の慶応経済の課題文で注目すべき点は、「人間のあり方」と「組織のあり方」です。少しヒントのような話をすると、今まで人間のあり方に関しては、近代的主体・実存・従属主体について学んできました組織のあり方については、「官僚制」と「ネットワーク」について学んできました

何度も言いますが、いかに自身の持つ知識との共通点を見出すかが、小論文作成のポイントです。人間のあり方と組織のあり方に注目して、課題文の本質を見抜いてほしいと思います。

以上になります!それでは早速『2017年度 慶応義塾大学経済学部』の問題に取り組んでみてください!

過去問の入手方法に関しては、書店で赤本を購入するのは気が引けると思うので、学校の進路指導室の赤本、東進の過去問データベース、城南予備校の早慶大入試過去問分析、などを活用するのがオススメです!

最後に

今後はこれの繰り返しになります。新しい知識を学んで、その知識を使って過去問を解く、ということを繰り返します。徐々に内容が複雑になっていくので、頑張ってついてきてください。

今回の慶応経済の問題もかなり複雑だと思います。ただこの複雑さに立ち向かえる能力が求められていると思って頑張ってほしいです。小論文というのは最後まで正解がわからないと思います。

「小論文には正解がある」という話をしましたが、僕が正解として書いている解答例の正しさを証明する手立ては何もありません。それは一流予備校講師が書いた小論文の解答例においても同じことが言えます。当たり前のことですが、小論文には完全に一つの正解がありません。だから最後までこれでいいのかと悩むものだと思います。

小論文の添削においても同じことが言えます。評価する人によって違います。某大手予備校の小論文模試の採点基準には「具体例の有無」がありますが、実際に本番の試験で、具体例を書かなかったから落ちたという話は聞いたことがない、と僕の習っていた先生は言っていました。

大手の予備校でさえも、本当に正しいかどうかはわからないのです。小論文というのはそういう科目であり、最後まで不安と戦わなければならないものです。

どうしても不安であれば、「小論文マスタープログラム」の受講を検討してみてください。

次回は「小論文読解講座過去問演習 第1回 復習編」について話していきたいと思います。

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ABOUT ME
Hiro
慶應義塾大学総合政策学部1年。1年間の浪人を経て、英語・小論文受験で合格しました。通っている学部はSFCですが、本キャンの受験経験があるので、本キャンの小論文の解答解説をメインで書いてます!

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