こんにちは!慶應義塾大学総合政策学部1年のHiroと申します!
今回は「要約」について話していきたいと思います。要約とは、文章全体の概要のことを指します。小論文入試の要約においては、論旨や要点を短くまとめることが求められます。
長い文章を100字や200字の字数制限の中でまとめなくてはならないわけですから、そこで重要となってくるのは情報の取捨選択となります。その取捨選択には”明確な基準”がありますので、その基準を理解すれば誰にでも要約ができるようになります。
本記事では、その基準について、3つのステップに分けて、詳しくお話していきたいと思います。
この記事の目次
要約する際の、情報を取捨選択する基準
まず要約には情報を取捨選択する必要があり、それには“明確な基準”があるということを、最初にお話ししました。まずはその「基準」について話していきたいと思います。
結論から先にお伝えすると、要約に含むことができるのは、原則として「抽象論」です。要約というのは、論旨や要点を短くまとめることであり、そのためには、“文章の骨組み”となる部分を抜き出す必要があるのです。
そもそも文章には、全体を支える軸となる“骨組み”部分と、その骨組みとなる主張に対してより説得力を与えるための“肉”となる部分があります。骨組みとなる主張だけで構成された文章は、ただの独り言に過ぎず、人を説得する力には欠けます。
だから、ものを書く人間というのは、自分の主張をより強くするために、その骨組みとなる主張に“肉付け”をします。
その“肉”というのは、具体例であったり、自分とは反対の意見であったりします。それらを自分の主張に肉付けすることで、自らの主張を強めているというわけなのです。
皆さんも、最初は何を言っているのか分からなかったけど、具体例を読んだことで内容が理解できた、という経験があると思います。しかし、「要約」というのは、筆者の主張を短くまとめる必要があり、また小論文入試の要約には字数制限があります。限られた文字数の中で、筆者の主張をまとめる際には、それらの“肉”の優先順位は下がり、主張の軸となる“骨組み”の部分が最も優先されるべき要素となります。
よって、小論文入試の「要約」においては、かなり厳しい字数制限があることを考えると、原則として“抽象的な骨組み”の部分をまとめることになるのです。
ただし、必ずしも具体例を入れてはならないというわけではありません。具体例を入れた方が、抽象論が綺麗にまとまることもあります。その感覚は、練習を重ねれば身につくようになります。
要約問題に取り組むプロセス
前の章で「要約は、“抽象的な骨組み”をまとめる必要がある」ということをお話ししました。では、「その抽象的な骨組みをどのように抜き出し、どのようにまとめれば良いのか?」について、具体的にお伝えしようと思います。
文章の骨組みを抜き出すと言っても、文章のそのままの記述を「切り貼り」するだけでは合格点には届きません。小論文入試の要約はかなり字数制限が厳しいので、「切り貼り」で文章中の表現や言い回しをそのまま用いようとすると、字数が足りなくなり、要約に含めなくてはならない大事な骨組みの部分を削らざるを得なくなります。
そのため、課題文から抜き出した抽象論を、自分の力でまとめて、論理を再構築する必要があります。
その手助けとなるのが、「図解」です。課題文から抜き出した骨組みを、図にまとめてしまうのです。「図解」することなく、課題文から抜き出した骨組みを、ストレートに要約しようとすると、文章中の表現や言い回しにとらわれてしまい、文章同士を綺麗につなげることが難しくなります。
なので、言葉で書かれた骨組みを、矢印などを使って、「図解」することで、論理の再構築をかなりラクに行うことができるようになります。
また図解することのメリットの1つに、要約に含めなければいけないことが見落としづらくなる、という点もあります。「課題文では直接的な記述はないが、間接的には書かれているため、要約に含めなければならない要素」というものがあります。それは、対比関係やイコール関係で間接的に書かれていることです。
そういった、言葉の上では見落としがちなことも、「図解」する時にメモしておくことで、はっきりと分かるようになります。
いちいち図解していたら、時間が足りなくなってしまうんじゃないか?
と思うかもしれません。しかし僕は「図解した方が早く終わる」と思っています。
頭の中が整理できていない状態で、先の見えないまま、道に迷いながら書き進めるよりも、先に全体を整理してしまって、書くべきことが大体わかってから書き始めた方が、早くかつ正確に要約を書き切ることができると思います。
実際のところ、全体が把握できた状態で、何を書けば良いのかを大まかに分かってしまえば、大学入試の小論文の字数であれば、要約は5分もかからないと思います。大学入試の小論文というのは、方針を立てることに一番時間がかかるものなのです。
ぜひ「図解」してみることをオススメします。
具体的な「図解」のやり方
では、「どのようにして図解すればよいのか」というのを、具体的にお話ししていきたいと思います。
Step 1. 課題文を読解する際に、抽象的な筆者の主張に波線を引く
抽象的な筆者の主張は、基本的にはパラグラフ(段落)の先頭文であることが多いです。
文章というのは、いくつかのパラグラフに分かれており、それぞれのパラグラフの中ではテーマ(伝えたいこと)が一つと決まっています。すなわち、パラグラフが始まったら、そこからパラグラフの終わりまでは、ずっと同じテーマについて文章が展開されていきます。
そして、パラグラフの中での文章は、抽象→具体と話が展開されていきます。なので、パラグラフの先頭文において、抽象的な筆者の主張が述べられ、二文目以降でより具体的な話に展開されていく、というパターンが多いです。
Step 2. その波線を引いた部分を元に、矢印を用いて、論理の展開を図解する
「因果関係」をより重点的に見ていく必要があります。まずは「原因」と「結果」を矢印でつなぎ、そのプロセスやより詳しい理屈は矢印の隣に書く、というのが良いと思います。これは自分がわかりやすい方法で大丈夫です。最終的に論理を組み立て直すのは自分なので、最も組み立てやすいと思う方法で図解してください。
例えば、
「イノベーション」
↓
(創造的破壊のプロセスにより、市場が活性化する)
↓
「経済成長」
という感じです。
Step 3. 自分で書いた図を元に、要約を書き始める
要約を書く時も、「因果関係」に注意してください。
字数制限が厳しい場合、要約に盛り込む優先順位としては、
原因 + 結果 > そのプロセス ・ 詳しい事情
となります。
とにかく、何が原因で何が結果として起こるのかというのが最優先であり、その中での詳しい背景については、字数に余裕がある場合に書くということになります。
また書く文章の「言い回し」にも注意してください。極力団長にならない言い回し・表現を選ぶようにすべきです。「最小限の表現」を使い、他の要素を盛り込むためのスペース(文字数)を空けるようにしましょう。
かっこいい表現を使いたくなる気持ちは分かりますが、そこは採点基準にはなっていないので、「どの要素を入れ込むか」ということに特にこだわって欲しいと思います。例えば、
NG 「〜であるがゆえに」
OK 「〜なので」
と言う感じです。
最終的に完成した要約を読み返して、「キツキツに詰まっている感」みたいなものを感じたらその要約は、必要な要素を盛り込めている可能性が高いです。逆に「ゆとりを感じる」のであれば、それはまだ必要な要素を十分に盛り込めていない可能性があります。
大学入試の小論文の要約は、「最小限の表現を使って、必要な要素を全て盛り込んで、ちょうどぴったり」くらいの字数制限に設定されています。当然、大学の教授がなんどもシミュレーションをしてその字数制限になっているということなので、「間違って省いてしまっている要素がないか」を常に確認して欲しいと思います。
最後に、僕の図解を参考にして欲しいと思います。2014年度の慶應義塾大学経済学部の小論文の問題です。黒ペンで書かれている部分が最優先すべき骨組みの部分です。そして色ペンで書かれている部分は、直接的ではなく間接的に記述がある部分や、因果関係のプロセスとなっている部分であり、優先順位は因果関係の次になります。
そして僕が実際に書いた要約がこちらです。
以上になります。この僕のやり方はあくまで一例なので、参考程度に捉えて頂ければと思います。人それぞれ、フィットするやり方というものがあるので、ぜひ僕の話を参考にして自分に一番合った要約の仕方を見つけてください。
検討を祈ります!