みなさんこんにちは!慶應義塾大学総合政策学部2018年入学のいりすです。
私は高校留学から帰国後、中高一貫校から通信制高校に転校し、その後総合政策学部にAO入試C方式1期で一発合格しました。
ほぼ不登校状態からSFCを目指したということで紆余曲折ありの受験生活でしたが、本命であったSFCのAO入試をどのように対策していたのかお話ししたいと思います!
この記事の目次
プロフィール
中高一貫の進学校に通い、高校1年から2年まで海外に留学していました。現地で学んだスキルを生かして帰国後にとあるコンテストで優勝、それがSFCのAO入試C方式(一次審査免除)の条件となりました。
しかし帰国後、日本の高校教育に漠然と疑問を抱くようになり、学校になんとな〜く行かなくなります。そして3年生のときに「私は国内大学はSFCだけを受験する」と決め、通信制高校に転校することを決意しました。
なにしろ留学から帰国後にちゃんと高校の授業を受けていなかった(合格後に最低限の知識は勉強しましたが笑)ので私に残された選択肢は、科目数が少なくて私のような生徒も受け入れてくれるマインドを持つSFCもしくは海外大学だけでした。
慶応SFCを目指したきっかけ
迷っていた志望校
中学生の頃から言語や文化に関する勉強をしたいと思っていたので、上智大学、東京大学教養学部、国際基督教大学、早稲田大学文化構想学部などは視野に入れてオープンキャンパスにもよく足を運びました。
その中でSFCを最終的に唯一の志望校に絞ったのは、まず帰国後のコンテストでC方式の出願条件を満たしたこと、万が一AO入試で失敗しても一般入試で得意な英語と小論文を生かせることでした。
しかし何より、オープンキャンパスで当時の学部長がおっしゃったある一言に心を動かされたのが大きなきっかけです。
学部長のことば
私が高校生だった当時は、総合政策学部長を河添健先生、環境情報学部長を村井純先生が務めていらっしゃいました。息ぴったりのお二人のトークはまるで漫才のようで、毎回オープンキャンパスでは爆笑の渦が巻き上がるほどでした。
そしてある日、オープンキャンパスで先生方がある質問をされました。
「この中で学校行ってない子いる?」
それ私じゃん!と私は心を踊らせましたが、恥ずかしくて手はあげられませんでした。続けて先生方がおっしゃった一言を忘れません。
「そういう常識に囚われないような子がいたら、ぜひ入学して欲しいんだよね!」
学部長のその一言で、私は「ここに絶対入学しよう!」とやる気を奮い立たせました。勉強中に辛いことは何回もありましたが、その度に「私は学部長に認めてもらえているんだから大丈夫!」と、この”原体験”(その後の人生を大きく左右するような強烈な体験)を思い出していました。
A0入試対策 受験ストラテジー
いろいろあった志望理由書
さて、2年生の秋ごろに話を戻しましょう。先ほど述べたように他大学も併願校として視野に入れていましたが、試験日程が一番早いSFC受験に向けて、SFC卒の学校の先生に志望理由書を添削してもらっていました。
C方式なので書類審査は免除とはいえ、面接試験では志望理由書とA4用紙2枚の自由記述が先生方の質問の「材料」となるので、手を抜いてはいけません。
最初は自分の志望理由書をプレゼンする想定で、パワーポイント(スライド)を作るという作業を何度も繰り返しました。そしてそれを文章にする作業を始めたのは、確か3年生になる頃だと思います。
しかし、前述の通り、だんだん私は全日制高校に行かなくなりました。学校の先生とお会いする機会も減りました。
そこでたまたま友人経由で出会ったのが、他県の高校からSFCに入学した先輩でした。その先輩はなんと無償で私の友人として志望理由書の添削や面接の指導までしてくれたのです。現役生の立場から何度も何度も厳しいツッコミを入れられることで、面接の対策にもなったと思います。
市販の「小論文の書き方」的な本も数冊読みましたが、あまりSFCの対策としては参考になりませんでした。SFCの志望理由書は一般的なフォーマットに合わせて書くだけでは足りないからです。それよりは自分の学びたい分野の専門知識や、入りたい研究会の先生の著書を読んだ方がいいと思います。
そして、これは私の肌感覚ですが、SFCの入試では多少文章が荒削りであっても、その文章が本当に本人から出てきた言葉で書かれていることを重視していると思います。もちろんたくさんのノウハウを持つ予備校等も存在しますが、受験生の志望理由書があまりにも画一的すぎてはその生徒の個性や本当に考えていることが見えません。
さらに、志望理由書を添削してもらう時に生じる問題が、「本当にこれでいいのか?」という不安に駆られていろんな人のアドバイスをもらいたくなる症候群、ではないでしょうか。
私としては、その不安は当然だと思います。私も合計4人くらいの方に志望理由書を見せていたことがありました。そして、その度に全く違うアドバイスをいただいていました。
その経験は、決して無駄ではありません。一つの文章を違う視点から見てもらうということは、新しい発見につながります。しかし最終的には、一人の方のアドバイスだけを聞いて、それと自分を信じて書くという覚悟を決めないと、様々な意見に流され、振り回されることになってしまいます。
ちなみに自由記述ですが、「自由」な記述ですのでなんでも先生方にアピールしたいことを書けばいいと私は思います。SFCの授業でも実際にクレヨンを使って図工みたいなことをやったりもするので(私はステンドグラス作って提出したこともあります笑)、体裁はそこまで気にせず楽しんで制作するのがいいのではないでしょうか。
結果として、私は予備校や塾に通うことなく一次審査の書類を完成させました。
AO入試 面接対策
私は書類を添削してもらった先輩との練習の他に、トフルゼミナールという予備校で3回だけ面接対策の個別指導をしていただきました。
先輩はSFCの中でも厳しいと言われる研究会に入っていたので、面接の練習というよりはケンカみたいな状態でした。SFCは圧迫面接と言われるけれど、圧迫面接になるかどうかは試験本番までわかりません。常に一番厳しい状態を想定して準備することで自信がつきます。泣いて挫けそうになっても大丈夫、その分だけ絶対強くなります。
志望理由書の中に少しでも甘いところがあったらとことん詰める気持ちで、何を言われても動じないくらいの、どちらかというとメンタル面での肝を座らせましょう!受験生に自信があるかないかで、面接官が受ける印象は全く違います。
また、予備校では3回だけプロの先生から指導をしていただきました。予備校にずっと通っているとある一定の「型」にはまりすぎてしまう危険性もありますが、3回だけだったので細かい言葉遣いなどを指摘していただけてよかったです。SFCの先生方は専門家なので、私たちが日常生活で使用している何気ない単語に疑問を抱いていらっしゃることもあります。たとえば言語や異文化理解の分野では「母国語」と「母語」の違いなどです。そうした細かいところにも気を配ることができれば印象がアップします。
たまに志望理由の暗唱を練習する方もいると思いますが、暗記や暗唱はすぐに試験官にわかってしまうのでお勧めしません。もちろん志望理由書に自分が何をどんな意図で書いたのか、何も見ないで言えるレベルになることは重要ですが、大切なのはそれを自分の言葉でどれだけ言い換え、説明することができるかです。
また、本や新聞には積極的に触れるようにしましょう!回答に詰まった時にそれで救われた、という友人もいます。
面接といえど口頭試問ではなく、憧れの教授とゆっくりとお話しできる機会です。そのくらいの度胸を持って、笑顔と落ち着きを忘れないでいれば自然と先生方の印象も上がります。大事なのはどれだけ回答のクオリティが高いかではなく、頑張って考え、自分の言葉で説明しようとしている姿勢ではないでしょうか。
面接官の先生方も受験生をはじめから落とそうとしているのではありません。先生方にジャッジされに行くのではなく、楽しく自分をアピールできる機会だと捉えましょう。
もしものための一般入試対策
AOの1期、2期ともに不合格だった場合は一般入試を考えていたので、英語はずっと勉強していました。留学していたので長文読解は比較的とっつきやすかったのですが、問題は単語でした。
使用していたのはユメタン3冊とキクタンです。ユメタンの一番難しいレベルのものは確か手をつける前に合格が決まったと思いますが、一般入試が本命でしたら一番難しいレベルまでやっておけば間違いないと思います。
キクタンは学校でテストがあり何周もしました。また、過去問を解いてわからない単語に線を引き、自分で単語帳を作っていました。
面接対策の予備校で言われたのは、得点は9割を目指す、ということでした。
小論文の対策は本格的に始める前に合格が決まったのですが、赤本を買って問題形式に慣れ、傾向を掴むために5年分くらい解いていました。もしAOで不合格だったら、予備校に行って小論文の勉強をするつもりでいました。
最後に
私の受験体験のメリット・デメリット
結果として私は総合政策学部に一発で合格することができました。
通信制高校に通いながら、しかも日本の全日制高校にはほとんど行っていないという状況でしたが、今はその経験が自信となっています。
私の受験体験のメリットは、なんとしても肝が座ったことです。これは一生の糧になります。ただ丸暗記をする勉強を日々繰り返すだけではなく、実際に人と話すことで知を深めていく受験勉強そのものが学びのプロセスでした。受験勉強からもうSFC体験は始まっています。
一方で、私はSFC以外の大学の対策を一切しなかったので、普通の高校での勉強をほとんどしてこなかったというデメリットがあります。数学は入学が決まってから全員テストがあるので必死で勉強し、また世界史や理科などは入学後も学ぶ機会がかなりあります。しかし一般常識の部分ではやはり欠けているところが自分にはあると思うので、少々偏りすぎた高校生活だったのかな、と反省はしています。それでも今はいろいろな分野の知識を身に着けることを意識しています。
メッセージ
SFCのAO入試は有名なものの、なんだか謎が多い・・・と感じている方も多いのではないでしょうか。また、私は田舎の出身なので周りにSFC生や卒業生の知人が少なく、情報が限られていて苦労しました。
しかし現在は、今まで以上にオンラインで人と会うことのハードルが下がっていると思います。SFC生は特にTwitterをやっている人が多いですし、受験生や高校生と話すのもウェルカムな人が多いはずです。また、誰かに対策をしてもらうのもオンラインで済ませられることが増えました。ぜひこの機会を生かし、勇気を出してSFC生たちと関わってみてください!
ちなみに以前私が鴨池で本を読んでいたら、受験生を名乗る高校生に話しかけられて二人で語ったこともあります。大教室の授業なら聴講もウェルカムな先生が多いです。意外と誰も気にしてません!
そして、辛いこと、思い通りにものごとが進まないことも多いと思います。しかしこの受験体験そのものが、SFCを知り、SFCで学ぶことのはじまりです。入試は大学からのメッセージなので、ぜひ楽しんで受験勉強を進めてください!応援しています。