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【衝撃】慶応SFC英語は本文読まずに回答できる?スクラッピングという解法

SFC英語 スクラッピング

「慶応SFCの英語は、本文を読まずとも、問いを読むだけで回答することができる」と聞いたら驚きますか?

多くの受験生は、「そんなこと出来るわけがない」「インチキだ!」と思うかもしれませんね。でも、実際には、SFC英語のみならず、難関大学の多くの英語の読解問題(すべてではない)では、本文を読まずに、問いを熟読するだけで正解を導くことができるのです。

この事実を知っている受験生は、ほとんどいないと思います。一見明らかに、読解問題の一般的な解法、正攻法と反しているように思われるからです。すなわち、本文を最初から読み始めて、その後問いを読んで回答するという読解方法とは真逆ですよね。

でも、難関大学の英語入試、とりわけ慶応SFC英語においては、この真逆の解答方法が存在するのです。この解法を熟知し、応用できる受験生は、他の受験生と比べて圧倒的に有利に戦えるはずです。この記事ではスクラッピングと呼ばれるこの解法を解説し、実際のSFC英語(2005年環境情報学部 大問1)の読解問題を、問いだけで回答してみようと思います。

慶應SFCインテンシブコース

問いを読むだけで回答するスクラッピングとは

なぜ本文を読まずに、問いを読むだけで回答できるのでしょうか?まず、この解法の原理を解説します。

スクラッピング(Scrapping)とは、小論文のトリセツ管理人のKazが受験生時代に、大手予備校で英語講師をされていた木原太郎先生が教えてくれた解法です。スクラッピングとは、論理が一貫した文章に対して問題作成者が問いを設定すると、問いも一貫したものとなるというのが主なコンセプトです。そして、問いから文章の一貫性を導き出し、文章読解を助ける、もしくは、直接解答を導き出すことができます。

とりわけ、SFC英語には有効な解法です。背景として、SFC英語で取り上げられる文章は難解なアカデミックな論文(サミュエル・P・ハンティントン著「文明の衝突」など)であることが多く、受験生にとってはレベルが高すぎることが挙げられます。そのため、出題者が適切に問いを設定して、本文を読むためのサポートをしてくれているのです。

このことは、SFC小論文と同じ構図だと気づいたでしょうか?SFC小論文も、問いが答案を作成する上で、決定的に重要なヒントであることは繰り返しお伝えしてきました。SFC英語もSFC小論文も、英語や小論文という建てつけではありますが、実際のところ、情報処理能力が問われているのが、これらの試験の本質です。

試験は出題者の問いに対して正確に回答することが求められます。したがって、出題者側が用意してくれたヒントである問いを最大限活用することは、慶応SFCの試験においては必須だと言って過言ではありません。

とは言え、問いを読むだけで回答する、ということに対してまだイメージがわかないことでしょう。それでは、実際に、慶應義塾大学環境情報学部2005年の大問1の読解問題を、問いだけを読んで回答してみましょう。

慶應義塾大学環境情報学部2005年 英語①解説(リード文のみ)

[21] What is the meaning of the statement “its fate still wavered in the balance” in the 2nd paragraph?
1. It was uncertain whether the new animal would survive.
2. Two or three gropes of animals might take over the earth.
3. The form of animal life was unpredictable.
4. Two different animal groups took turns as animal kings.

[22] In the statement “the man-apes had been given their first chance” in the 5th paragraph, what kind of chance does the author mean?
1. To grow crops.
2. To tame the animals.
3. To survive by using tools.
4. To recognize symbols.

[23] Which of the following is the intended meaning of the statement “the toolmakers had been remade by their own tools” in the 8th paragraph?
1. People were classified by the tools they made.
2. Man-apes continued making new tools.
3. Man-apes evolved into humans.
4. New tools were produced by old tools.

[24] What made it possible for humans to acquire a past?
1. Historical accidents.
2. Language.
3. Papyrus.
4. Time.

[25] What does author mean by the statement “they peopled the sky…with gods” in the 11th paragraph?
1. Humans separated politics and religion.
2. Humans traced the figures of gods in the constellations.
3. Humans developed politics based on astrology.
4. Humans fostered a philosophy based on mythology.

[26] Why was it that “their means of offense became steadily more frightful” as stated in the 12th paragraph?
1. Humans learned the art of aggressive diplomacy.
2. Humans adapted to harsh environmental changes.
3. Humans learned how to fight in groups.
4. Humans transformed simple tools into weapons.

[27] Which of the following items can be included in the list, “the spear, the bow, the gun, and the guided missile” in the 12th paragraph?
1. Armor.
2. The cannon.
3. The helmet.
4. The sword.

[28] What does the author mean by the statement “they often used them against themselves” in the 13th paragraph?
1. By misusing tools, humans destroyed them.
2. Humans were not able to maximize their power.
3. Humans were not able to conquer the force of nature.
4. Humans fought each other.

[29] The statement “humans were living on borrowed time” in the 13th paragraph indicates that
1. humans were obliged to return time to the lender someday.
2. time could be revered.
3. the human race might come to an end.
4. the human rule overtime was simply accidental.

[30] The main point of this article is
1. both humans and animals adapted well to environmental cahnges.
2. there was no essential difference between humans and animals.
3. tools played an important role in human history.
4. humans designed their environment through religion and philosophy.

それでは、順に解いていきましょう。

[21] 2番目の段落の「その運命はまだバランスで揺らいでいた」という記述の意味は何ですか?

“waverd”という単語が分からない受験生が大半だと思いますので、この単語が分からない前提で考えたいと思います。その運命はまだバランスの中で、○○。選択肢をチラ見すると、animalという言葉が散見されるので、本文では動物に関する記述がされているのかな?と察しておきましょう。

次の問いを読みます。

[22] 5段落の「man-apesに最初のチャンスが与えられた」という記述において、著者はどのようなチャンスを意図しますか?

man-apesとは、何でしょうか?人とape(猿?)の合体、つまり類人猿のことではないか?と発想できると良いです。それでは、歴史上、類人猿はどのように認知されているでしょうか?それは、最初に道具を使った動物だ、ということですね。選択肢をみると、

3. To survive by using tools.(道具を活用して生き残るため。)

という選択肢がありますので、これが正解候補となるでしょう。

「本文を読まずに、なぜこの選択肢が正しいと言い切れるのか?」と思われるかもしれません。これが正解だと決めるける必要はありません。不安であれば、確認のために本文を読めば良いのです。

ただ、歴史的背景、あるいは一般常識に照らし合わせてみて、類人猿の文化人類学的な位置付けとしては、始めて道具を使ったことであることは否定できないでしょう。そして、慶応SFCの英語の本文は、必ず何かしらの学術分野で著名な学者の文献を引用しています。これらの背景知識から、この選択肢が正解だと言えるのではないか、と考えることができるのです。

[23] 第8段落の「ツールメーカーは自分の道具で作り直された」という文の意図する意味は、次のうちどれですか?

この問いでも、tool(道具)というワードが出てきました。問いは本文の要約であり、本文の大事なポイントをピックアップして構成されているというスクラッピングの原則を考慮すると、このtoolという単語は本文全体のキーワードであると言えそうです。それに伴い、[22]の3. To survive by using tools. という選択肢の妥当性が高まったと考えて良いです。

選択肢を読む前に、問いのリード文の「intend」という言葉に注意しましょう。intend=意図する、ですので、このリード文の””内の直接的な言い換えの選択肢は正解にはなり得ません

直接的な言い換えの選択肢とは、4. New tools were produced by old tools. ですね。ただし、リード文の主語はtoolmakers(人)であるのに対して、選択肢4はNew tools(モノ)なので、これは正解ではありません。ここでは、選択肢1と3がアヤシイな、と思えれば上出来です。次に進みましょう。

[24] 人間が過去を獲得することを可能にしたのはなぜですか?

まず、これまでman-apesが主語だったのに対して、ここから主語がhumansに変わったことに気づきましたか?本文が進むにつれ、類人猿の時代から人間(ホモサピエンス)への時系列の経過を経たことに注目しましょう。

この時点で、先ほどの[23]の回答は、3. Man-apes evolved into humans.だと気づけるようになれると、英文の論理構成を理解できている(そして、SFC英語に慣れている)と言える水準に達していると言えます。toolsによって、類人猿は人間へと進化した、ということなのですね。

さて、本リード文では、「過去を獲得する」という特殊な表現が用いられています。人間が過去を得る、過去すなわち歴史を知り、自身の知恵とする、という意味合いで考えると、選択肢の2. Language.しか正解の候補にはなり得ませんね。歴史の授業で学んだとおり、言語を駆使することが、人間を人間たらしめているのです。

[25]第11段落の「彼らは空に神々を…住まわせている」という記述で、著者は何を意図しているのでしょうか?

peopleという動詞を暗記しておく必要はありません。イメージとしては、人々の動詞なので、「人化した?」のようなイメージを持てば良いでしょう。選択肢を見ると、リード文の主語「they」は、humans(人間)であることが分かります。

この問いに関しては、constellations(星座)という単語を知っていれば、すぐに正解は2. Humans traced the figures of gods in the constellations.だと分かるでしょう。

・ traced → peopled
・ the sky → in the constellations
・ with gods → the figures of gods

というように、文法的に同一、位置的に同一、構文的に同一ならば意味的に同一であるので、この選択肢が正解だと言えるでしょう。
*なお、このような文章構成法を「ドミナント・モーション(主題反復理論)」と言いますが、これについては別途解説します

このように本文を読まずに正解を決めてしまうことで、「間違っていたらどうしよう?」と思うかもしれません。その際は、繰り返しますが、本文を確認のために読めば良いのです

[26]第12段落で述べられているように、「彼らの攻撃手段は着実に(どんどん)より恐ろしいものになった」のはなぜですか?

選択肢を読むと、彼らとはHumans(人間)ですね。means of offenseは、オフェンスの意味ではなく、オフェンス(攻撃)の手段です。meansは基本的かつ重要な単語であり、SFC受験生としては必ず押さえておきましょう。

これまでの問い=本文の大事なポイント=の流れを追ってみると、man-apesがtools(道具)を使うようになり、man-apesから人間に進化していく際に、道具の作り手(=man-apes)は、道具によって自らを進化させてきた、となりますね。

そして、本問では人間の攻撃手段がより恐ろしいものになった理由を聞いています。文脈から考察すると、理由は「道具を進化させたから」という内容が適切でしょう。これに該当する選択肢は、4. Humans transformed simple tools into weapons.ですね。人間は、シンプルなtools(道具)を、weapons(武器、兵器)に変えた、ということです。

[27]第12段落の「槍、弓、銃、誘導ミサイル」のリストに、次のどのアイテムを含めることができますか?

選択肢を見ると、

1. Armor.(鎧)
2. The cannon.(大砲)
3. The helmet.(ヘルメット)
4. The sword.(剣)

とあります。全問で人間の攻撃手段がより恐ろしいものになっていった、という文脈に沿って考えましょう。リード文では、徐々に武器が進化していることが分かります。ここで言う進化とは、攻撃範囲の飛距離が伸び、かつ広域になっていることだと理解できるでしょう。

その点、攻撃手段でない選択肢、1. Armor.(鎧)と、3. The helmet.(ヘルメット)は、回答の選択肢から外れます。次に、大砲か剣ですが、大砲は前述の武器の進化の文脈に沿っていると考えられます。また、槍とほとんど変わらず、原始的な攻撃手段である剣が正解であるとは考えづらいとも言えます。

[28]第13段落の「彼らはしばしば、自分たち自身に対してそれらを使用した」という記述で、著者は何を意図しているのか?

文脈を汲み取ると、人間が武器を自分たちに対して使った、という内容だと判断できます。当然、想起されるのは第二次世界大戦で用いられた原爆など、兵器を用いた戦争(人と人の殺し合い)でしょう。

選択肢を読んでみると、1. By misusing tools, humans destroyed them.と4. Humans fought each other.が、迷う選択肢かと思います。ただし、1.の和訳は、「武器を誤って使う(悪用する)ことで、人間は武器を壊した」となります。これは基本的な英語の読解問題ですが、この選択肢のthemはtoolsを指しますので、この時点で文脈的に正解は4となります。

[29] 13段落目の「人間は借りた時間に住んでいた」という記述は、〜〜を示唆している。

indicateという動詞は、SFC英語のリード文には頻出する要注意単語です。意味としては、「暗に示す、示唆する」といったニュアンスです。SFC英語では、しばしば「リード文から読み取れる示唆は、〜〜(選択肢の正答)です」、という使われ方をします。

選択肢を見てみると、

1. humans were obliged to return time to the lender someday.(人間はいつか貸し手に時間を返す義務がありました。)

これは誤答です。リード文の「借りた時間」という表現(暗喩)をそのまま受け取ってしまっています。indicateが含む意味を汲み取っていない選択肢であるため、NGです。

文脈を汲み取ると、人類はtools(道具、武器)によって進化してきた。しかし、人間同士が武器を使って殺し合いをするようになっていった。この文脈に沿った選択肢は、3. the human race might come to an end.(人類は終わりを迎えるかもしれません。)が適切だと言えるでしょう。

[30] この論文(記事)の主なポイントは、

これまでのリード文、すなわち本文の重要なポイントをピックアップした文、要旨を理解できていれば、人類とtools(道具・武器)との関わりがキーワードであることは自明です。特に、toolsというワード、もしくはそれに類するキーワードが入っていない選択肢はポイントをまとめた文章になり得ません。また、その観点で選択肢を見ていくと、

3. toolsは人類の歴史において重要な役割を果たした。

これが正解だと考えて間違いないでしょう。

さて、最後に改めて[21]と選択肢を見てみましょう。

[21] 2番目の段落の「その運命はまだバランスで揺らいでいた」という記述の意味は何ですか?

1. 新しい動物が生き残るかどうかは不確かでした。
2. 2〜3匹の動物が地球を引き継ぐ可能性があります。
3. 動物の生活形態は予測不可能でした。
4. 2つの異なる動物グループが動物の王として交代しました。

1と3で迷うところだと思います(2,4は歴史的背景を考慮して、事実と異なると言えるため、NG)。ただ、[30]で見たように、本論文の主旨は人間の歴史とtoolsの関係でです。そして、このリード文が第1問目であり、ここからman-apesが道具を使うチャンスを得たという内容に展開していくことを考えると、人間(新しい動物)が繁栄し、そしてその前身のman-apesが生き残るかどうかは不確かだった、という内容の1の選択肢が妥当ではないか?と予想することができます。

スクラッピングの適用範囲と限界

いかがでしたでしょうか?今回は本文を一切読まず、問い(リード文+選択肢)を読んで回答する、というあまり見慣れないであろう回答方法を紹介しました。

「こんなの、模範回答を元に後付けで解説したに決まっている!」と思われる受験生もいるかもしれませんが、実はこの2005年は小論文のトリセツ管理人のKazがまさに慶応SFCを受験し合格した年なのです。そして実際に、僕は試験当日の日吉キャンパスでスクラッピングの手法を使い、この大問1の読解問題を10分程度で解いてしまいました(当時の正答率は8/10でしたが…)

このスクラッピングという手法は、楽して簡単に英語の読解問題を解く手法ではありません。SFC英語の題材となる難解な論文を理解するための背景知識と論理的思考力、アカデミックな英語特有の文章構成法など、様々な知識が必要です。もちろん、SFC英語を読解するための十分な英単語の語彙力や文法といった知識も不可欠です。

また、スクラッピングが使えない、もしくは使いづらい出題がなされることもあります。問いのリード文からヒントが読み取れない場合がそうです。その場合でも、問いのリード文を一読した上で本文の読解に取り掛かるようにしましょう。あくまでも、試験では問いに対して回答することが求められているからです。問いが本文のどの部分を聞いているのか、どういうキーワードが出てくるのか、何かしらヒントは見つかるはずです。

繰り返しますが、一見スクラッピングは本文を読まずに問いだけ読めば読解問題に回答できるというものですが、本質は総合的な英語力なのです。SFC英語の対策は、過去問で難易度の高い英文に慣れることが王道ですので、それは忘れないようにしてくださいね。

その上で、問いはSFCの出題者側がくれた重要なヒントだということを理解し、それを最大限有効活用するという姿勢を身につけるようにしましょう。SFC英語の得点力アップに繋がるはずです。

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ABOUT ME
Kaz
2005年慶應義塾大学総合政策学部入学、2009年卒業。本サイト「小論文のトリセツ」の管理人&慶應SFCインテンシブコースの責任者です。志望大学合格に向けて、受験生を全力でサポート致します!

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