小論文のノウハウ

近代の知 – 近代的主体・実存・従属主体のまとめ【小論文読解講座#8】

小論文読解講座8

こんにちは!慶應義塾大学総合政策学部2019年度入学のHiroです!

今回は「近代的主体・実存・従属主体のまとめ」について話していきたいと思います。

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近代の思考を、いかにして小論文試験で活かすか?

前回、・前々回にわたって解説した、近代的主体・実存・従属主体のまとめになります。

これまでは、新たな知識をただ詰め込み続ける“インプット”中心の勉強であったと思います。先が見えず、本当にこれでいいのかと思うこともあったと思います。しかし、これからはインプットとアウトプットの比率が1:1になります。これまで時間をかけて学んできたロゴス・パトス・近代的主体・実存・従属主体を、実際の課題文に当てはめて考えていくという学習にシフトしていきます。

実際の課題文では、ロゴスや近代的主体という直接的な記述があることはほとんどないです。自分の力で、どれがロゴスで、どれが近代的主体なのかを考えなくてはならないのです。それは、表面的な用語を覚えるだけでは絶対にできません。本質に目を向け、内容を深く理解している必要があるのです。

これまで、人間の内部の二つの側面と三種類の人間のあり方についてかなりしつこく説明してきましたが、それは飽きるほどに何度も考え、深く本質を理解していないと、本番で使える知識にならないからなのです。今回のまとめは“最終確認”なので、このタイミングで確実にモノにして欲しいと思います。

今後はこれらの知識は分かっているものとして話を進めていきますので、今回のテストでまだ曖昧なところがあると思ったら、ちゃんと復習して確実に満点を取れるようにしてほしいと思います。

近代的主体・実存・従属主体まとめテスト

次の文章に関して、空欄補充問題があります。[ 1 ]から[11]の空所を埋めるのに、文脈的に最も適当な語を1または2から選びなさい。

近代的主体とは[ 1 ](1.ロゴス 2.パトス)だけを持つものと考えられ、[ 2 ](1.ロゴス 2.パトス)とは切り離されている。一方実存としての人間は、ロゴスとパトスの両方を持つものであり、現実存在としてのあり方である。従属主体とは、[ 3 ](1.近代的主体 2.実存)のあり方であり、他者により作られた出来合いの規範を[ 4 ](1.内面化 2.外面化)し、その規範を絶対的なものとみなし、主体性を喪失する。

近代的主体は自身のロゴスを絶対化しており、「その規範を超えた側面=[5](1.規範の超越性 2.他者の他者性)」に触れることはない。それがゆえに、自身の規範をアップデート=拡大することができず、自己の中に[6](1.経験 2.実績)を蓄積することができない。近代的主体が生まれた背景には、理性主義の考え方があった。確かに近代的主体(従属主体)で構成された官僚制的な組織は、一部の面では高い生産性を保つことができるかもしれないが、組織内部の人間が組織の規範に従属してしまっていて、他者の他者性に触れることができず、自身のロゴス、すなわち、組織の規範に新たな側面を組み込むことができないため、組織の規範は拡大せず、何か問題が起こったとしても軌道修正をすることができないという危険性がある。従属主体は、他者に支配されている状態であり、自己の主体に基づいて意思決定を行うことができなくなっている。

それに対し、[7](1.実存 2.近代的主体)はロゴスとパトスの両方を持ち、ロゴスで他者を見て、その自己規範を超えた側面、すなわち、他者の他者性にパトスで触れ、その新たに受け入れた側面を、自身の[8](1.ロゴス 2.パトス)に組み込み、[9](1.自己規範 2.身体性)を拡大させる生き方を取る。この一連のプロセスを[10](1.相互交渉 2.相互交流)といい、人間はこの( [10] )のプロセスを経ることで、自己の中に[11](1.他者の他者性 2.経験)を形成することができる。自己の中に経験を蓄積しないと、物事を深く理解し、判断することができなくなり、結局出来合いの規範を内面化し、他者に従属する生き方を取らざるを得なくなる。

以下、解答を記載しますが、その前に自分自身で考えて答えを出してから、この先を読んでくださいね。

近代的主体・実存・従属主体まとめテスト 解答

[ 1 ] (ロゴス)
[ 2 ] (パトス)
[ 3 ] (近代的主体)
[ 4 ] (内面化)
[ 5 ] (他者の他者性)

[ 6 ] (経験)
[ 7 ] (実存の人間)
[ 8 ] (ロゴス)
[ 9 ] (自己規範)
[10] (相互交渉)

[11] (経験)

近代の思考を活用の仕方と、小論文の学習方法

いかがだったでしょうか。いままで8回に渡って、ロゴス・パトス・近代的主体・実存・従属主体について、かなりしつこくやってきましたが、これらの知識は一度理解してしまえば、あとはここまでしつこくやらなくても大丈夫です。

ただし、それは1度完全に理解しきったらの話です。自分の中で何か繋がったような感覚があれば、あとは実際の小論文で使うことでマスターしていってほしいと思います。このような近代の考え方というのは、普段の生活の中では馴染みのない言葉であったりするので、最初のハードルはとても高いですが、一度理解できてしまえば、あとはそこまで難しくありません。

小論文の課題文においては、だいたいどの課題文も同じようなことしか言っていないので、ある程度勉強を進めていけば、初見の問題を眼の前にしても「またこの話か」と既視感を覚えるようになると思います。これからの小論文学習で待ち受けているハードルは、これまで小論文読解講座で学んだ近代の知識を、いかに課題文読解の中で使いこなすか、またいかに論述の際に用いるか、ということになっていきます。

小論文の課題文では、ロゴスやパトス、主体や実存などと直接的に言及されることは滅多にないです。別の言い回しで書かれた内容の本質を捉え、その本質をロゴスやパトスといった知識と結びつけることが必要なのです。

例えば、「この人間のあり方は、物事を色眼鏡で見て他者の他者性に触れていない。だからこれは近代的主体なんじゃないか。」というように、両者の本質の共通項を見出し、自身の力で目の前の情報を解釈しなくてはならないのです。表面的な言葉での理解では、絶対にこの域には達しません。だからこそ、本質の学習というものにこだわって今までやってきました。

これからの学習は、

①近代的主体と実存の考え方を基盤とした組織や社会のあり方について学ぶ

②そこで学んだ内容を使って実際に過去問を解く

というものにシフトしていきます。

過去問は、昔のSFCの問題を中心にやっていきたいと思います。

慶応SFC小論文と、慶応伝統学部との類似性

90年代のSFCの問題は、近年のSFCのような情報処理能力を問われる内容というよりは、重厚感のある徹底した教養を求められる出題が多いです。これらをやる理由としては、慶應の本キャンとSFCの対策の両方を網羅的にできるからです。

まず慶應の本キャンの出題は90年代のSFCと出題傾向が似ており、かつ90年代のSFCの方が内容が濃いものが多いので、昔のSFCの問題を使って時間をかけて積み重ねれば、本キャンの小論文に関してはかなり潰しが効くと思います。実際に僕は慶應経済を受験しましたが、小論文に関しては、かなり余裕を持って取り組むことができました。

次にSFCの対策ですが、環境情報学部は少しトリッキーな出題も多いですが、総合政策学部に関しては、90年代と求められている能力は大きく差がないと思います。最近の出題で求められるグラフを読み取る能力やデータを分析する能力は、社会に対する総合的な理解に支えられており、要は教養が求められているということです。その教養は90年代のSFCの過去問をこなすことで十分に養うことができます。

詳しい話はまた次回以降しますので、今の段階では「今後はこんな感じで勉強していくんだな」と思っておいてください。

今回は以上になります。

次回からは新しいフェーズに入っていくわけですが、まだこの先の学習に不安を感じている人は「小論文合格サロン」への入会も検討してみてください。慶應卒の管理人Kazと現役慶應生の学生チューターがオンライン上で直接指導致します。近代の知識についての疑問点やその他受験に関する質問など、なんでもお聞きください。

今から始めて間に合うのか、最短で小論文をマスターするにはどうすれば良いかなど、どんな質問にもお答えいたします。こちらもぜひご利用ください。

次回は「官僚制的な組織〜近代を代表する組織のあり方〜」について話していきたいと思います。

ABOUT ME
Hiro
Hiro
慶應義塾大学総合政策学部1年。1年間の浪人を経て、英語・小論文受験で合格しました。通っている学部はSFCですが、本キャンの受験経験があるので、本キャンの小論文の解答解説をメインで書いてます!

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