【大学別】小論文の過去問分析

【決定版】慶應義塾大学SFC(環境情報)の小論文 入試傾向と対策【全年度網羅】

【昨年度SFC合格率62.5%】慶應SFCインテンシブコース開講【初学者歓迎】

※慶應義塾大学環境情報学部2025年度の小論文試験を追記しました(2025年2月23日)

慶應義塾大学環境情報学部の小論文の傾向と対策を、ほぼすべての過去の入試問題を参照した上でお伝えしていきます。

大学入試における小論文の対策として最も効果的なのは、その大学学部がどんな人間を欲しているのかを自分で調べて理解し、その上で過去問に当たり、添削を受けることを繰り返すことです。特に慶應SFC(総合政策学部・環境情報学部)は他の大学の小論文と比べると非常に癖があるものが多いため、第一志望として慶應SFCを受験するのなら、尚更力の入った対策をする必要があると言えます。

慶應SFCの受験科目は、英語or数学or英数+小論文という2科目受験です。そして配点は学科と小論文で半分半分となっており、小論文の配点が非常に大きいです(通常、小論文は大きくとも30%程度の配点になることが多い)。

そのため、「学科で稼ぎ切り、小論文は適当に流して合格する」ということが非常に難しい学部であると言えます。学科と小論文でバランス良く高得点を取って合格に持っていくのが理想です。

また、この環境情報学部の記事は総合政策学部と対になるように書いていますが、実際のSFC入試においてはこの二つの学部を無理に分ける必要は無いと考えています。

なぜなら慶應SFCというのはもともと一つの学部だけが所属するキャンパスとして作られようとしていたからです。つまり、総合政策学部と環境情報学部で分かれる予定はなかったのです。

しかし、文部科学省に「文理を分けてくれ」と言われたため、慶應側がそれに従い二つの学部に分けました。現在の大学入試においては総合政策学部が文系であり環境情報学部が理系と区別されていますが、もともと同じものを作ろうとしていた為求めている人間像の本質は総合政策学部も環境情報学部も全く同じです。ただそれに対するアプローチが「テクノロジー」なのか「政策」なのかというだけの違いです。

ここに関しての勘違いをしている受験生は非常に多いです(たとえ合格者であろうとも)。よくある間違った考えとして「総合政策学部は政策っぽい解答、環境情報学部はハイテクっぽい解答をしよう」というものがあります。

あえてここで断言しますが、全く関係ありません。総合政策学部でドローンのことを書こうが、環境情報学部で政策問題について触れようが、慶應SFCが掲げている「問題発見・解決」という理念に沿った解答を仕上げられていれば合格できます(もちろんその年度の問にしっかりと答えられていることが前提ですが)。そのため、最新の国際問題がどうだ、テクノロジーがどうだということを躍起になって調べて頭にストックすることよりも、慶應SFCが「どんな人間を求めているのか?」ということについてよく調べ、よく考え、そして何よりもよく問題を解くことによって自分の考えをSFC向けに磨き、切れ味を良くしていくことの方が数千倍大事です。

とはいえ、参考程度に環境情報学部の理念や研究領域について一通りさらっておくことは有益です。先程「ネタを仕込まずに自分の頭でしっかり考えろ」という旨のことを書きましたが、本番という緊迫した空気感の中で今までに見たことのない問題を解くのですから、モノによっては混乱してしまい考える余裕が無くなるということも十分に考えられます。そんな時に、自分の考えを形作るための第一歩(決して仕込んだネタを丸々使うことはしないでください)として使う時用に、「こういう研究をしているところなのか…」という情報を得ることは良いでしょう。

前置きが長くなってしまいましたが、本題に入ります。

SFC小論文(環境情報学部)の出題傾向と難易度【2025年更新】

慶應SFC(環境情報学部)の過去の出題テーマ、また環境情報学部における研究領域、文字数、難易度を一覧化しました。出題テーマのリンク先は、過去問の答案例・解説の記事です。

SFCでの研究領域についてですが、現在の研究領域が定められていないであろう時代のものにも強引に領域分類を行っています。また、環境情報学部の問題は分類不可能であるとなったものも多いです。このことから、研究領域に無理やりはめて考えることは実践においてはあまり良くないです。とはいえ分類をしてある程度領域を把握することに損はないので、念の為記載しておきます。

年度 出題テーマ SFCでの研究領域(分野) 文字数 難易度
2025年 科学的方法論としての仮説演繹法の本質と現代的意義 先端領域デザイン 1,000+α
2024年 新しい大学入試のあり方の提案 先端領域デザイン 900+α
2023年 定量的研究と定性的研究 人間環境科学 1,800
2022年 未来からの留学生派遣制度を活用した問題発見・問題解決 分類不可 自由
2021年 世の中の不条理に対する問題発見、問題解決(定量的・抽象化、発想力) 分類不可 自由
2020年 社会システムの変容が人間性に与える影響 人間環境科学 1,000
2019年 キャンパス内での問題発見・解決 環境デザイン 自由
2018年 物語の創作 分類不可 900
2017年 SFCでの学び 分類不可 1,000
2016年 モノやコトの生まれ、それによる意識の変化 先端領域デザイン 880
2015年 発明や創造 先端領域デザイン 1,300
2014年 本の編集 分類不可 1,400
2013年 身体知 人間環境科学 1,400
2012年 生活用品のデザイン 先端領域デザイン 1,200
2011年 科学技術を用いた科学的な計量 先端領域デザイン 1,400
2010年 電子的な図書館 先端領域デザイン 1,500
2009年 メディアとコンテンツの相互関係 先端情報システム 1,200
2008年 調査中
2007年 調査中
2006年 調査中
2005年 調査中
2004年 調査中
2003年 フリーエージェントについて 分類不可 1,400
2002年 人類の空に対する夢と願望 先端情報システム 自由
2001年 デジタルテクノロジー 先端情報システム 800+図
2000年 アーミッシュ 分類不可 1,000
1999年 文明と人間 環境デザイン 820+図
1998年 メディア論 先端情報デザイン 1,000
1997年 知識と情報の関係性 先端情報デザイン 1,000
1996年 日本の産業に対する思考 分類不可 図+1,000
1995年 モデル、概形について 分類不可 図+1,000
1994年 調査中
1993年 調査中
1992年 調査中
1991年 調査中
1990年 調査中

SFC小論文は、慶應SFCの理念・カリキュラムを理解することが不可欠

早速具体的なSFC小論文対策のポイントに入って行きたいところですが、その前に慶應SFCの小論文を解くにあたって最も重要なことである「学部理念の確認」ということを改めて行いましょう。

小論文は、その回答の自由度からしばしば「問題に答えさえすれば書きたいことを書けばよい」のようなことを言われてしまいます(もっとも、その『問題に答える』ということすらできていない人が多いのですが….。)。

しかし、本気でその大学学部を目指しているのであれば「どんな人間を欲しているのか」ということは徹底的に調べてその人間像の思考様式を自分の中に取り込めるようにしておくべきです。

慶應SFCの理念及び研究領域については、慶應SFCの公式HPや、2019年度慶應SFCパンフレットに記載されています。見ていきましょう。

理念

環境情報学部の記事であるためいきなり環境情報学部の学部理念を引っ張って説明してもよいのですが、前述の通りSFCというのはもともと一つの学部として作られようとしていたキャンパスであるため、SFC全体としての理念を大元として確認しましょう。

湘南藤沢キャンパス(SFC)は、「問題が与えられ、正解を教わる」のではなく、 現代社会において「何が問題なのかを自ら考え、解決する方法を生み出す」ための教育を 文理融合の2つの学部が一体となって展開しています。 分野を横断した「問題発見・解決型」の学びで、未来を創造する力を養うキャンパスです。(公式パンフレットより)

ここにおいて注目したいのは太字にした部分です。SFCの特徴について受験生や教員が話す時、少しSFCのことを知っている人間は決まって「問題発見・解決に重きを置いているところだよね」と話しますが、正確に言うと少し違います。確かに最終的な形としては問題発見・解決に帰着するのでしょうが、根本は上の太字にもある通り、「何が問題なのかを自ら考え、解決する方法を生み出す」というところにあります。

これはSFC小論文を解くにあたって非常に役に立つヒントです。

「問題発見・解決さえすればいいんだな!」という単純な知識を持っている受験生と、「そもそも問題ってなんだ?問題ってどう生まれるんだ?」という本質に迫る思考様式を得て試験場に来る受験生、どちらの答案がSFCの教員(採点を担当する)にとって魅力的に映るのでしょうか。疑いもなく後者の受験生ですよね。これが、私がこの記事において「ネタを仕込んだりしない方が良い」と繰り返し主張している理由です。

SFCが公式に「何が問題なのかを”自ら”考え」ることに重きを置いている教育をしているとパンフレットに、それも一番目立つページに大きく書いています。「最新の国際問題やテクノロジーに関する豊富な知識を持つ学生を欲しています」なんてことは書いていません。自分の頭で「何が問題なのか」ということを考えることができる人間を欲しているのです。

詳しい考え方についてはまた別の記事でご紹介しますが、この「何が問題なのか」という本質的な問いには、「個人の価値観/哲学/感じ方」というものが大きく影響しています。分かりにくいので、ここでは「価値観」という言葉を用いて説明しますが、要するに「Aを問題だと感じるのは『Aは問題なのだ』という価値観を持っているから」ということです。

2007年の総合政策学部の小論文の資料文に、城壁と兵士の話があります。まとめると、「城を攻める兵士にとって城壁は『悪いもの(攻撃を阻むという意味で)』であるが、城を守る兵士にとって城壁は『良いもの(敵の攻撃を阻んでくれるという意味で)』だ」ということです。これはSFCの小論文、またSFCが求めている人間の思考を知る時にとても参考になります。ここでこれを読んでくださっている受験生の方に覚えて頂きたいのは、「立場や価値観によって、単なる事実は善にも悪にもになりうる」ということです。

話をもとに戻します。上のようなSFCの理念に加え、環境情報学部の理念は

グローバル情報社会の発展と問題解決。その使命を果 たすためには、一つの学問にとらわれない学際的な研究 が不可欠です。目指すのは、テクノロジーやサイエンス、デ ザ イン な ど を 専 門 領 域 とし つ つ 、人 や 社 会 に 具 体 的 に 貢 献する、数値や性能を超えたソリューションを生み出すこ と。環境情報学部の学生は、最先端の技術と発想を、人 文・社会科学と柔軟に融合させ、地球・自然・生命・人間・ 社会における未解決の問題にアプローチしています。

です。大まかに言うと「色々組み合わせて色々解決していこうぜ」ということなのですが、この学部理念の根底には先程説明したSFC全体での理念があるということを絶対に忘れないでください。そこの意識が足りないと、安易に知識ベースの答案を書く癖が付いてしまいます。事実、2019年度の環境情報学部の問題の注意文には「安易にAIなどで解決するといった趣旨の文章を書くな」というものがありました。

毎年毎年知識ベースの思考停止答案を書いて落とされていく受験生を見て、SFCがさすがに注意しておかないとまずいと感じたのでしょうか。いずれにせよ「考えた跡」のない答案はまず低い点を付けられて落ちると考えて差し支えありません。

確かにSFCの小論文は難しいですが、題材に最新の話題が盛り込まれることが多いため大してSFCのことを理解せずとも、最新っぽいことに自分の考えをちょっと付け足すだけで幾分「それっぽい」答案ができてしまいます。しかし採点するSFCの教員はそんな安易なものはすぐに見抜いてしまいます。最初は時間がかかっても良いので自分の頭で考え抜くということを何よりも大事にしましょう

しっかりと考えた上で練った答案であれば、ネタがAIであろうがスポーツであろうが政策であろうが、あるいはもっと身近な話題であろうが関係ありません。

とはいえ、学部理念を確認して覚えておくのも損にはならないので、根底の理念とセットで覚えるのも良いでしょう。

研究領域

入学してみると「この2つの学部において違いはほとんどない、研究会も授業も総合環境どっちの分野取っても何も問題はない」ということに気づくのですが、公式サイトにおいては両者にすごく違いがあるように書かれています。確かに総合環境それぞれの分野においてやっていることは違いますが、それは「総合政策の子はこっち、環境情報の子はこっち」ということを意味しているわけでは断じてありません。

とはいえ「単純に見てて面白い」というところもあるので研究領域にはしっかりと目を通しましょう。それではご紹介します。

先端情報システムの分野

コンピュータやネットワークはその存在を主張せず、情報システムは水や空気のように日常に溶け込み、我々の生活をさまざまな形で支援する、そのような先端情報システムを創造し、諸問題に挑みます。

最も「SFCっぽい」分野ではないでしょうか。小論文においては「解答時のネタにしやすい」と感じる受験生が多く、実際使われているのでしょうが「なぜ?」というところを突き詰めていなければいけないので安易にこのネタに走ることはおすすめできません。

先端領域デザインの分野

21世紀に求められる新しいデザインやアートについて研究を進めます。デザインに関わる分析、ビジョン構築、作成、評価、マーケティングまで、一連のプロセスをすべて取り扱います。

デザインというのは「問題解決」の最たる例です。「誰の」「どんな」問題を「どのように」解決するのかがデザイン。そう考えるとデザイン的思考を持てる人間は非常に強いですね。

先端生命科学の分野

SFCでは、医・薬・理・工・農・情報・政策を融合した世界最先端の生命科学を展開しています。分野にとらわれず、あらゆる学問を総動員して生命のしくみを解明し、健康・医療・食品・環境分野に貢献します。

この分野は、あまり小論文で絡められていないような印象があります。繰り返すようで申し訳ありませんが、これらの分野にどれだけ精通していたとしても根本的な思考様式がSFCの求めるそれとズレている場合、何回受けても受かることはないので注意してください。あくまで自分の思考をSFC向けに研ぎ澄ました上でこれらの知識を「参考程度に」持っておくのが良いという話です。

環境デザインの分野

建築・都市・地域レベルから地球レベルにわたるスケールの異なる幅広い視野で、持続可能な未来の環境デザインに関する実践的な教育・研究に取り組んでいます。

まちづくりに関する話題がこの分野において最も身近な例でしょうか。先端領域デザインのところでも書きましたが、デザインとは問題解決の形に他ならないということを意識しましょう。

人間環境科学の分野

人が身体と言葉を駆使しながら、動的に環境・社会と相互作用するプロセスを、個人および社会レベルで考えることで、知の構造・機能の理解を目指すと共に、新たな知の創成に挑戦します。

一回読んだだけではスッと頭に入ってこない説明文ですが、これに関しては「身体知」というキーワードが鍵を握っています。ぜひ調べてみてください。いずれ記事にします。

SFC小論文作成での問題発見と問題解決の流れ

ここからはSFC小論文、特に環境情報学部の小論文答案作成の流れについて、解説していきます。SFC小論文の答案作成には、「定石」と言えるような、一定のやり方があります。このやり方をマスターすれば、どの問題に対しても対処することができるようになるはずです。

ただし、あくまでもこの「定石」とは「思考方法の定石」という意味であり、決して「こう書けば受かる」というものではないため注意してください。文章のフォーマットとしては必要最低限やっておくべきこと(近いうちに記事にします)以外は「とにかく考えたことを筋道立てて伝える」ということを意識すれば例え拙い文章であったとしてもSFCの先生は概ね好意的にその意図を汲んでくれます。「小論文においては文章力が大事だ、本を読め」と指導する方もいるようですが、小論文においては「思考」が一番大事です。
その思考が論を生み、それを文字に起こすことで小論文が完成します。

またまた前置きが長くなってしまいました。次に進みます。

SFCの基本的なスタンスは、「問題発見・問題解決」です。このスタンスは、SFCでの研究活動だけでなく、社会人になってから企業で仕事をする際にも求められるスタンスです。この「問題発見・問題解決」というプロセスをもう少し細分化してみると、このようになります。

SFC小論文作成の「問題発見・問題解決のステップ」

SFC小論文の答案作成の主な流れは、

問いの確認→論点の構造化→アウトラインの作成→主張の展開→主張の評価

という5つのステップになります。この流れに沿って、制限時間(近年は2時間)内に答案を作成していくことになります。
それでは、それぞれのステップについてポイントを抑えておきましょう。

問の確認

最初に書いておきますが、ここが何より重要であり、なおかつ受験生が一番軽視しやすいところです。SFC小論文において(大学受験においてもそうですが)、問いは神様です。全ては「問題に正しく答えられているか」から始まります。

多くの受験生は「SFC小論文は資料文が膨大で難しいからそっちに時間を割こう!」という考えのもとに、問題文もそこそこに資料文の理解に時間を使います。確かに資料文を読むことは大事ですが、問題文を軽視した時点で敗色濃厚であるということを理解しましょう。

問いの確認をするにあたって最も重要なのは「問いの分解」です。

一見長ったらしくて理解が難しい風な問題でも、よく読んで問いを分解すればせいぜい3~4個の質問をされているだけ、というように分かります。これは単に問いを分割して突破口を分かりやすくするという効果だけでなく、「難しそうに見えるけど、これとこれとこれに答えればこの問題には正しく答えることができるんだな、行けるなこれ」という心の安定に繋がります。例を出してみましょう。

慶應義塾大学環境情報学部2016年の小論文、問3の問題文には

問2であなたが選んだモノやコトが、来るべき未来にどのような発展・進化を遂げているかを考えてください。そして、それらが登場したきっかけとともに、そのモノやコトを使うことによる生活や人の意識の変化を、現在から未来を想像しながら880字以内で説明してください。なお、未来においてはあなたが大学を卒業した後を想定していますが、どの年代かは自由に設定してください。

とあります。長いですね。
でも、これをよく読んで「結局何が聞かれてんの?」という風に分解していくと

・問2で選んだモノやコトが来るべき未来にどんな発展進化をするのか
・それは登場したきっかけ
・それによる人の生活や意識の変化(現在から未来を想像しながら)

の3つが主な質問ということになります。かなり考えやすくなったと感じませんか?

このように問いを正しく読み込んで正しく分解することでSFC小論文は格段に書きやすくなります。受験生からすると問いというのは敵のような存在に思えるかもしれませんが、実は正しく分けることで問いは受験生の味方であることが分かります。SFCの方から書くべきことの方向をある程度示してくれている訳なので。

これが、問いがたった1つでしかも「この世において革新を起こしたものについて説明しなさい。」などという想定範囲がデカすぎる問題であったらかなり大変です。問いを小刻みに分けて、しかも比較的長めに問題文を設定してくれているというのはSFCの気づかいであるということをここでしっかりと理解しましょう。

最後になりますが、このように問いをバラして簡単な質問の並びにしてしまうことで「問いと外れた解答をしてしまう」ミスが減ります。どういうミスなのかというと、「明日の天気は何ですか?」と聞かれて「はい。私は雨が好きです。」と答えるようなものです。

おそらくこれを読んだ全ての方が「は?」と感じるかも知れませんが、その「は?」と感じた受験生ですら本番の試験で同じことをやっていることがしばしばあります。ですがこれを読んだあなたはもう安心です。問いをバラすことの重要性を知ったので。

論点の構造化

次に、論点の構造化です。ここでは、問いを把握した上で、問いの論点を構造化することが求められます。

論点を構造化する上では、「問いのメインテーマを細分化する」「資料間がどのような構造、関係性なのか」という視点で考えてみましょう。

SFC小論文の資料は膨大ですが、ヒントの宝庫です。資料の中からあなたの主張の論理展開をサポートできる部分をピックアップし、あなたの主張の論理をより説得力あるものにするために利用するのです。問いが受験生の味方であるのと同時に、この資料文も受験生の強い味方です。

そのためには、資料の正確な読解力が不可欠です。環境情報学部の小論文の問いでは、資料の要約が求められることがあるのも、そのためです。正しく外部の情報を理解し、そこからあなたの意見を展開することが求められています。

アウトラインの作成

3番目に、アウトラインの作成です。アウトラインは、小論文全体のガイドラインであり、小論文答案の骨子を成すものです。このアウトラインで論理構成が破綻してしまうと、当然答案用紙の内容も破綻してしまいます。したがって、いかに優れたアウトラインを作成するかが、小論文答案作成の肝となります。

私のおすすめは、問いの確認でバラした質問を問題用紙の余白に縦に並べ、それぞれから矢印を引っ張ります。その先に自分が考えた結果生まれた主張の要点を書き出しというものです。後はそれを文字数やその他問題で示されたルールに気をつけながら書いていけば完成です。

アウトラインの作成方法については、第3回小論文短期集中講座でお伝えしたアウトラインの作成方法に詳述していますので、併せてご覧ください。

主張の展開

4番目に、主張の展開です。小論文で常に問われていることは、あなたの主張です。資料の要約や引用は、あなたの主張ではありません。いかにあなた自身の主張を説得力を持って伝えるかが、小論文の得点獲得に直結します。あなたの主張に説得力を持たせるためには、理由と根拠・論拠をセットにして語る必要があります。これも、私が「知識ベースの思考停止小論文を書くな」と何回も注意している理由です。

詳しくは、小論文短期集中講座で繰り返しお伝えしてきたことですので、不安がある方はぜひ復習してみてください。

主張の評価

最後に、主張の評価です。これは、あなたの主張に対する、想定される反論もしくはあなたの主張(考え、アイディア)の欠点を考え、その反論(欠点)に対する反論を記述するというものです。これによって、あなたの主張はより説得力を持つことができますし、「物事を多面的に捉えることができる人だ」と採点者にアピールすることができます。

問いの確認→論点の構造化→アウトラインの作成→主張の展開→主張の評価、この5つのステップがSFC小論文で求められる、問題発見・問題解決のプロセスです。

ただし主張の評価については、その文のどこに入れたほうがより伝わりやすいかが変わってくるので、「絶対に主張の評価を最後に入れろ」と強制するものではありません。そのバランス感覚は演習を積んで添削を受けることによって磨かれていくので安心してください。

SFC小論文の問題発見・解決のプロセスは、大学の研究活動と同じ

これまで、SFC小論文(環境情報学部)での答案方法の流れを見てきましたが、実はこの流れは、まさにSFC入学後にあなたが研究活動で行うことそのものなのです。
研究活動の流れをシンプルに表現すると、

・自ら問いを立て、
・論点を整理し、
・自らの初期段階の考え(仮説)を立て、
・その論点に沿った情報を収集し、
・自分の考えをまとめる

というものです。

SFC小論文では、問いこそ与えられているものの、それ以降の流れは研究活動とまったく同じです。さらには、卒業後、社会人としてさまざまな仕事に就くことになると思いますが、仕事の進め方も実はまったく同じなのです。

一般的に大学受験の勉強は「入学したら忘れる」「社会に出ても直接役には立たない」など形として残るものは少ない(たとえ忘れたとして、その後に残るものが重要ではありますが)のですが、SFC小論文を真剣に対策すると「キレのある思考」が身につきます。SFC小論文に必要な思考様式の要素は多岐に渡るため、あえてこのような曖昧な言葉を使いましたが、とにかく「真剣に正しく対策を積めば積むほど、SFC受験生としてのレベルも人間としてのレベルも上がる」ということです。

受験生の皆さまには、ぜひSFCに入学した自分を想像して、SFC小論文を愉しみながら取り組んでみてもらえたらと思います。

なお、「小論文と作文の違いって何?」「小論文の書き方が分からない…」という悩みをもっている方は、いますぐ小論文って何?基礎から学ぶ小論文の書き方【慶応SFC卒業生が徹底解説】の記事をお読みください。

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サカエ
慶應義塾大学総合政策学部1年生。自分の受験生時代に培った、小論文の学習方法をもれなくお伝えします!
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